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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 長屋の前で見付けたにしては、長屋住まいとは思えない。着ているキモノも立派なものだし、髪飾りとかも素敵。よくドラマに大店のお嬢さんが出てくるけど、ああいう感じの恰好をしてる。帯も黒繻子の上等そうなものだし。
「あなたの名前は?」
「つやと申します」
 可愛い名前だね。でも、ちょっと今風じゃない。まるで、江戸時代の女の子の名前みたい。
 言葉使いも相当丁寧ーっていうか、今時の中学生でこんな言葉使いするコなんて皆無だよ!
 だけど、ここが本当の江戸時代なら本物の迷子かもしれないけれど、今は平成だよ?
 江戸時代の身なりをした女の子が現実に私たちの時代に存在するはずがない。
 ーてってことは、彼女は間違いなくお化け屋敷のスタッフでしょ。バイトかもしれないけど、とにかく、江戸娘のなりをしてるだけだよね。
 なのに、〝元の世界に帰りたい〟って台詞も妙だと思わない?
 見た目はふつうそうに見えるけれど、もしかして、ちょっとヤバイのかななんて、思ったりもして。
 でも、頭がイカレれるのなら、余計にこのまま放っておくこともできやしないし、とにかくスタッフを呼んでこよう思った。

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