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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 その女の子の幽霊騒ぎのせいで、お化け屋敷をせっかくつくったものの、噂が次第にひろまってお客の入りも減る一方だったのだそうだ。
 だから、私たちが入ったときも、あんなにガラガラで閑古鳥が鳴いていたんだね。納得。
 私と高志はバス停からの道をゆっくりと歩いた。
 いつしか空はすみれ色に染まり、早くも夜の気配を漂わせ始めている。
 気の早い秋の虫の鳴き声が草むらから聞こえてきた。その時、私はハッとした。
 いつしか高志と私は、しっかりと手をつなぎあっていたのだ。
 やだ、もしかして、バスを降りてからずっと、手を握っていたの!?
 私はもう心臓が口から飛び出しそうだ。
 高志は気づいていないのか?
 そっと窺うように見上げると、高志と眼があった。
 高志の方も何か物言いたげにしている。

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