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私と高志の長い一日~とっておきのキスは恐怖の後で~

第3章 謎の江戸っ娘はいったい誰!?

 でもさ、私たちはまだ二年生だし、来年があるよ。また来年の夏に向かって頑張れば良い。今度は私も応援に行くからさ。
 私の思惑を見透かすかのように、高志が少しだけ眉をつりあげた。
「真美、今、何を考えてる?」
「ううん、別に何も」
 ここで来年の夏こそ頑張ってねとか言えば、私も女の子らしく可愛いと思って貰えるんだろうけど、生憎、私はやっぱり、そういう柄じゃないみたい。
 高志の漆黒のきれいな瞳がじいっと私を射貫くように見つめている。これ以上、心の底をのぞき込まれたくなくて、私はついっと彼から視線をそらした。
「真美、顔が紅いぞ?」
 からかうように言われ、私は思わず片手で頬を押さえた。
「えっ、ホント?」
 と、高志がプッと吹き出す。
「嘘」
「なー」
 私は拳を握りしめ、ふりあげた。
「何で、そんな嘘をつくのよ~」
 ブツ真似をすると、高志は高志でふざけて〝おお、怖~〟と怯えるふりをする。
 しばらく、私たちは屈託ない笑い声を上げた。

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