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僕らの気持ち。

第3章 噂の二人組

「あっ、そうそう新入生、言い忘れてたけどさ…」

「……はい?」

何だろう…と不思議に思っていたら…



「入学おめでとう!!」

ニコッとその女の子に微笑まれた。






ずぎゅん。胸に何かが突き刺さったような音が聞こえた。





じゃあね、それだけ!!っと言い残し女の子を再び走り出して言った。










「…………おい。」

女の子が走り去った後もずっとそこに突っ立っていた。

「…………聞いてるのか、椿。」

なんだかよくわからんが胸がきゅんきゅん。いやきゅんを通り越してぎゅんぎゅんしている。


むにっ、

急に頬をつねられた感触。



「いてぇっつーの。急に何すんだよ!」

俺の頬をつまんだ一ノ瀬に文句を言う。


「俺が何回も呼んでいるのに気が付かない方が悪い。それになんだ、その腑抜けた面は……」

びょーん、

一ノ瀬は俺の頬をつねったまま離さない。


「ひゃめろよー。いひのしぇ!(やめろよー。一ノ瀬!)」

つままれているため上手く話せない。


「大体…俺を置いて見ず知らずの女の子に話しかけるなんて…」

ぶつぶつぶつぶつ独り言のように一ノ瀬のお説教。


「うるしゃいなー。……はーなーしぇー(うるさいなー。……はーなーせー)」

「……人の気も知らないで。」

ふっ、と一ノ瀬の眉が若干ざかる。
ようやく一ノ瀬が離してくれた。


「いてて…まったく、腫れたらどうしてくれるんだよ。」
つねられた部分をさする。ちょっだけ痛い。くそ一ノ瀬め……

「腫れても腫れなくても顔変わってないから安心しろ、それより早く入学式行かないと…」

一ノ瀬が早く行くぞと俺を急かす。


「わかってるっつーの…まったく、誰のせいでこんな……」

「…何か言ったか?」

また一ノ瀬が頬をつまむポーズで構える。


「……なんでもないです。」


そして俺達はさっき女の子に教えてもらった体育館へと向かって行った。

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