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ブルースカイ

第5章 美香

俺はただ相槌を打って、聞きに徹していた。





しばしの無言。俺は何て声をかけていいかわからず、





「ほんま大変やったんやな。」





と呟いた限り、咳払いをしたり、タバコを吸ったりして、ただ黙っていた。





「明日、学校行く前にちょっと寄っていってくれん?ちょっと渡したいものがあるんやけど。」





美香が急に沈黙を破った。その声は悲壮な決意に満ちたかのような声だった。





「ああ、ええよ。明日、1限からやから、7時くらいに行くわ。」





「待ってる。遅くまでありがとう。おやすみ。」





「美香も疲れてるみたいやから、ゆっくり休み。」





電話は9時くらいから始まったが、終わったのは日付が変わり、5月17日になっていた。






俺は着替えると、別れ話にならなかった事だけに安心して、眠りについた。

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