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ブルースカイ

第6章 麻理子

俺はフラスコを取り出すと、ブランデーをあおった。



「ソウ、それ止めれんの?」



「酒飲んでる時だけは、いらん事忘れられんねん。」



「飯も食わずに酒ばっかやけど、体にはようないやろうし、ほどほどで止めときや。」




「なるべく飯は食うようにするわ。」



当時の俺は軽いアル中状態だった。酒だけは荒んだ心をごまかしてくれたため、起きてから寝るまで飲んでいた。



美香の残した傷、この頃の俺には重すぎた。抱えきれない重荷は、何かへの依存につながる。俺の場合、それが酒だった。



様々な問題に対して、後手後手で流されて、当時の俺には到底解決できる問題ではなかったが、人の力を借りるのが下手だったため、物事にぶつかっては傷付き、ぶつかっては傷付きの繰り返しで、余計深刻な方向に向かっていた。

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