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ブルースカイ

第7章 景子

「ソウ、なにしとん?」



「まだ酔いが覚めんから、水でももらおう思って。」



「昨日は調子に乗って飲み過ぎや。病院行って見てもらったがええで。」



「わかった。」



フミに伴われ、家の近くの病院に着く。



診察の結果、2・3日入院になった。名目は急性アルコール中毒だったが、実際は酒断ちさせるための入院だった。



俺の担当の看護婦さんは、景子さんという、俺より3つ年上の人だった。酒を欲しがるわがままな俺を優しくなだめてくれた。



当時の俺は、酒を減らさなければならない事はわかっていた。しかし、覚めた後の現実が怖かった。



夜になると酒がほしくてほしくて、たまらなくなり、1日何回も景子さんを呼んだ。



「景子さん、酒を。少しでもいいから、酒を。」



「なんでそんなにお酒が欲しいんですか?」



「酔いが覚めた後の現実が怖い。お願いですから、酒を。」

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