テキストサイズ

ブルースカイ

第11章 昌孝

「マサはええな。聡先輩みたいに親身になってくれる人がおって。俺も聡先輩の子分になりたいわ。」









「でも、兄貴は変なとこはフミさんより優しいけど、普段はフミさんより厳しいから、きつい部分もあんねんで。」









「ふーん、マサは俺の事そう思ってるんやな。」









「兄貴、怒ってはります?」









「怒ってはないけど、マサは子分やないで、単なる手のかかる後輩やわ。手はかかるけど、大事な奴でもあるわ。」









「聡先輩、俺もマサみたいになれますか?」









「さぁ、どうやろ。今日初対面やし、昌孝君やっけ?自分の事知らんし。」









「昌孝でええです。これからも遊びに来てええですか?」









「ええで。」









「ほな、俺が誘いますわ。」









「頼むわ。」









これが昌孝との出会い。俺が暇潰しに読む孫子や、君子論、戦争論といった古典的名作に興味を持って、本を貸したり、呆けた顔のマサを尻目に、内容について議論したり、せがまれて解釈を講義したりしていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ