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ブルースカイ

第12章 コウ

「アハハ。人生なんてそんなもんやろ。禅問答みたいにわけわからん事多くて、いつの間にか年取って、死んでいく。儚いわ。」









コウは苦笑した。









「俺は聡みたいに人生悟れんわ。これから色々あるやろうけど、明美と生きていくねん。」










ポケットの中の携帯が急かすように震え始めた。多分、フミかマサやな。









「まあ、人それぞれ考え方あるんちゃうん。ただ1つ言えるんは、人生は思う通りにいかんし、色んな奴がおるから、面白いって事やわ。」









携帯が鳴り止む。後でかけ直そう。









「色んな奴がおるからおもろいんはわかるけど、人生思う通りになったがええやろ。」










「先のわかる未来に苦悩はないやろ、苦悩があるから、喜びもあんねん。人生、喜びばっかやと、嬉しい事ないで。」









「聡は悲観的なんか、楽観的なんか、ようわからんわ。」









「人間、片面だけで語れるほど単純やないわ。色んな面が複雑に組み合わさって、1人の人間やねん。」









コウは黙っていた。









「まあ、ええや。フミに連絡するわ。久々に3人でどっか行こうか。」

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