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ブルースカイ

第12章 コウ

あてもなくブラつくのが好きだった。









どこに行くでもなく、ただ気の向くまま歩く。









気付いたら、10キロくらい離れた三ノ宮や、20キロ以上離れた梅田にいることもあった。今思うと暇を持て余した若さの産物だった。









歩きながら、色々なことを考えていた。









昌孝の病状、マサのへこみ方、ケンカが増えた恵とのこと、コウの意図、気になることはいっぱいあった。









俺に何ができるんやろ。身の回りに問題は色々あるけど、俺に何ができるんやろ。









ふと、足を止めると、近くに小さな公園があったので、ベンチに座る。









タバコに火をつける。









その時、なんと言いようもない、吐き気がくるくらいの血の臭い。









あかん、いつもの来たわ。美香の青白い顔。赤とも黒とも言えない浴槽の色。









水道から垂れる雫の音。換気扇の音。









ただ静かな光景。だが、俺はじわりと汗が吹き出すのを感じていた。









震えが止まらず、火をつけたタバコを地面に落とす。俺は座っていたベンチで横になる。










どれくらいたっただろうか、俺を呼ぶ声がする。









「聡?」

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