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ブルースカイ

第12章 コウ

麻理は天然で底抜けに明るいだけではなく、人の痛みを自分の事の様に悲しめる感受性、困っている人を放っておけない優しさがあった。









そんなわけで、からかわれながらも回りの誰からも愛される存在だった。









フミはまるで妹かのように可愛がっていたため、悪い奴に騙されんように、と常々心配していた。









よく言えば天真爛漫で、純真無垢だが、悪く言うと世間知らず。









世の中に悪意や、欲望と言ったものが存在することを知らないのではないか、とすら思う。









裏表もないため、男女ともに好かれており、俺の回りにはいなかったタイプだった。









泣きじゃくる麻理の背中をさすってやる。









「麻理が泣いてどうすんねん。泣き止み。なっ?」









「そんなきつかった時に、うち、側におれんでごめんな。」









「まだ出会ってなかったがな。」









「うち、いつでも聡だけのうちやから。」









少し心が揺れる。が、思い直して、言った。









「麻理、彼女持ちの俺なんかより、いくらでもええ人おるやろ。」









「ええの、今は片想いでええし、このままずっと片想いのままでもええねん。」

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