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ブルースカイ

第12章 コウ

「そうなんや。」









「フミ、昔は大人しかってん。俺と明美やんちゃで、いたずらばっかしとってん。フミは後ろからついてくる感じで。」









「そうやったんや。今からは考えられへんわ。」









「フミが明るくなったん、多分、それからや。」









「俺の知らんフミやわ。」









考えてみると俺はフミや、コウ、マサ達の生い立ちを知らないし、彼らも俺の生い立ちを知らない。









互いに知っているのは、知り合ってから後の一部。人間は誰もお互いの人生の一部の時間を共有しているに過ぎない。









そんなことにふと気付いた。









「その話してて、なんとなく思い出したわ。それだけ。」









「それだけなんや。ところで、今日の本題なんやねん?嫌なことは先に終わらせとこ。」












「特にないわ。じっくり飲みたい思って、聡と行こう思っただけや。」









「そうなん。ほな、ええけど。」









コウ、相変わらずフミと溝あんねんな。

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