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ブルースカイ

第5章 美香

「嫌いな訳ない。でも、好きになるほど怖い。嫌われるなら、諦められるうちに諦めたい。」





過去を知ったら捨てられるとの思い込みによる極度の依存。





世の無常を悟ったかのように、絶頂で終わる事を前提に、堪えられるうちに終わらせたい。





相反した感情。





美香のこの複雑な胸中もわからず、安易だった若かりし日の俺。





「俺はずっと美香の側におるから。絶対嫌ったりせんから・・・。」





そう言って、強く抱きしめた。





美香は何も言わず、泣いていた。





俺は自分で言った言葉の重さの意味も理解できていなかった。





季節は麗らかなGW明け、このまま、何事もなく、穏やかな日々が続くのではないか、そう思える日だった。

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