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もしも僕がね、

第2章 好きなモノ

「じゃあ、任務達成出来たから私は帰るか。理人くん、あんまり早川先生の事いじめないように。」

そう言って院長先生は帰って行った。

どうやら任務とやらは俺と白石理人とのツーショットをカメラにおさめることだったらしい………何故。



「そうだ。新しいアルバム買わなきゃー…」

ふいにあいつがそう呟いた。


「アルバム…?」

「うん…俺さー。色んな人撮るの好きでさ、いっぱい写真撮ってるんだよ。」

そう言って、がさごそとベットの下に潜り込んで何冊かのアルバムとやらを見せて来た。


「こっちは結構最近でー…ほら201号室のおばあちゃんとー…あとほら!じーさんも写ってるんだぜ。」

白石理人は楽しそうに写真に写る人達のことを話す。
この人の特徴とか良い所、ダメな所も全部。



「そっか。楽しそうだな…」

「楽しいよ!
あー…俺、この人達の人生の中で一瞬でも関われたんだー…って思うんだ。」


笑顔で話す白石理人を見て、なんだか複雑な気分だった。



だってこれ……全部、病院の中で撮ってあるじゃないか。

この中に写っている人の多くは、もう会えない人達だという事なんだろう…?

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