壊れる程に愛してる。
第2章 秘密
気付いていないけど、メイは友達としての贔屓目で見なくても本当に可愛い。
黙っていたらすごい美少女だしスタイルもいいし、モテると思う。
「勝負下着ってヤツ?お店で測ってもらったらカップあがってたしでも…見せる相手いなーい!!」
第一印象は"美少女"でも、話したり遊んだりしているうちにいつも友達で終わってしまうのだ。
恋愛においては薄幸の美少女なのである。
「あたしに比べてルナはいいなぁ…」
彼女の声がさっきとはうってかわってしおらしくなる。
なんだか緊張して、暑さで出る汗とは違うものが急に流れ出す。
「彼氏とまたえっちなことしてたんでしょ!!首にバンソーコ付けて!!キスマークなんて!!いやらしい!!」
彼女は少し大袈裟に両手と髪の毛で顔を覆い、また体をクネらせてわざとらしくヒステリックに叫んだ。
また、だ。
「こんな暑いのに長袖着てるのも黒タイ履いてるのも、彼氏に"他の男なんかに肌見せるな"とか言われて束縛されてるのね!!」
違う、よ。
「こんな溶けそうなくらい暑いのにそんなの強制なんて、DVよ!!」
違う違う違う違う違う違う違う違う。
「違うよー!!私が好きでこのカッコしてるんだしwちょっとトイレ行ってくるね☆」
後ろから待ってと誰かの声が聞こえた気がした。
気付いたらいろんな人たちにぶつかりながら廊下を走っていた。
無意識のまま屋上まで一気に駆け上がっていた。
ドアに手を掛け回してみたが、まだ朝だからか鍵がかかっていた。
「半袖なんか着られるワケないじゃん…」
流れ落ちた汗を床が弾く。
階段の一番上の段に座りこみ、少しでも涼もうと袖をまくった。
キスマークや咬まれたりつねられたりした痕の数々。
もう治りかけのものや、まだ血が滲んでいるもの。
「見せられないよ…」
頬を伝って落ちたたくさんの雫を床が弾いていった。