
激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第11章 第三話〝花笑み~はなえみ~〟・其の参
将軍の妻―、幾ら脳裡に思い描いてみても、到底我が身のこととは思えない。しかし、これは紛れもなき事実なのだ。大奥という華麗な、そして苛酷な場所、幾千人の女たちが集う伏魔殿にたった今、自分は乗り込もうとしている。
果たして、自分が並いる女たちを相手にどこまで闘ってゆけるのか。
美空の胸は言い知れぬ不安に震えた。
覚悟を秘めた瞳で真っすぐ前方を見据える。
後ろは振り返らない。
二度とは引き返せぬ一本の道の前方だけを見つめ。
将軍の訪れを告げる鈴の音が派手に鳴り響いた。
お鈴口の扉が両側からさっと開く。
奥女中たちの次々にひれ伏す中、美空は打掛の裾を翻し、大奥の廊下に一歩踏み出した。
(了)
☆ 第3話は今日で終わり、明日から最終話へ! ここまでお読みいただき、ありがとうございます!☆
果たして、自分が並いる女たちを相手にどこまで闘ってゆけるのか。
美空の胸は言い知れぬ不安に震えた。
覚悟を秘めた瞳で真っすぐ前方を見据える。
後ろは振り返らない。
二度とは引き返せぬ一本の道の前方だけを見つめ。
将軍の訪れを告げる鈴の音が派手に鳴り響いた。
お鈴口の扉が両側からさっと開く。
奥女中たちの次々にひれ伏す中、美空は打掛の裾を翻し、大奥の廊下に一歩踏み出した。
(了)
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