
激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第14章 第四話・其の参
矢代はそこで毅然として言った。
「私は、あの人を愛しています。一生奉公、大奥のために我が生涯を捧げると定めた身には一生にたった一度の恋にございます。その恋に身を灼き、何もかもを失ったとて、いささかの悔いもございませぬ」
「一生に一度の恋―」
美空は惚(ほう)けたように呟く。
「このようなことをお訊ねするのはどうかとは存じますが、御台さまは恋をなさったことがおありにございますか」
唐突に問われ、美空はハッと我に返った。 六年前、初めて家俊と出逢った日のことをありありと思い出したのだ。家俊のいたその場所だけが回りから切り離されていたような、そこだけが輝いて見えたような気がした。
ひとめ見た瞬間から始まった恋は今もまだ続いている―。
美空の頬が染まったのを見、矢代が微笑む。
「私は、あの人を愛しています。一生奉公、大奥のために我が生涯を捧げると定めた身には一生にたった一度の恋にございます。その恋に身を灼き、何もかもを失ったとて、いささかの悔いもございませぬ」
「一生に一度の恋―」
美空は惚(ほう)けたように呟く。
「このようなことをお訊ねするのはどうかとは存じますが、御台さまは恋をなさったことがおありにございますか」
唐突に問われ、美空はハッと我に返った。 六年前、初めて家俊と出逢った日のことをありありと思い出したのだ。家俊のいたその場所だけが回りから切り離されていたような、そこだけが輝いて見えたような気がした。
ひとめ見た瞬間から始まった恋は今もまだ続いている―。
美空の頬が染まったのを見、矢代が微笑む。
