
激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第14章 第四話・其の参
だが、瀬川市助との恋を一生に一度の恋と言い切り、そのために身を犠牲にしても構わぬとまで言う矢代を翻意させることはできなかった。それに、もしかしたら、このまま、矢代の望みどおり恋に殉じる生き方を、逝かせてやるのもまた、一つの思いやりかもしれない。美空はそうも考えた。
美空の歩みが止まった。
いつのまに止んだものか、美空が矢代の部屋を出て廊下に立ったときには、既に雨は止んでいた。
どうやら、予想外に長居をしたらしい。
あの部屋に入ったのは、夕刻にはまだ少し間があった時刻のはずなのに、春の日ははや暮れようとしていた。太陽が出ていれば、まだまだ明るい時刻ではあるが、このように曇っていては、夕刻なのに、もう庭は薄い闇に包まれようとしている。
美空の歩みが止まった。
いつのまに止んだものか、美空が矢代の部屋を出て廊下に立ったときには、既に雨は止んでいた。
どうやら、予想外に長居をしたらしい。
あの部屋に入ったのは、夕刻にはまだ少し間があった時刻のはずなのに、春の日ははや暮れようとしていた。太陽が出ていれば、まだまだ明るい時刻ではあるが、このように曇っていては、夕刻なのに、もう庭は薄い闇に包まれようとしている。
