
激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第15章 第四話・其の四
少し手前に、まだ若い大名が立ち止まって会釈している。あれは確か、先月家督を継いだばかりの備前岡山藩の藩主であったか。
―ええい、どいつもこいつも、最近の若い奴は澄ました顔をしていながら、腹では何を考えておるか判らん。あの公方さまだとて、表向きは儂をいかにもご信頼あばされているようにふるまわれているが、お心の内はどうか知れたものではない。
堀田はそんな若造など眼にも入らぬといった様子で、足早に通り過ぎていった。
堀田を見送った後、若い岡山藩主は自分の態度に何か粗相があったのかと、しきりに首をひねっていた。
―ええい、どいつもこいつも、最近の若い奴は澄ました顔をしていながら、腹では何を考えておるか判らん。あの公方さまだとて、表向きは儂をいかにもご信頼あばされているようにふるまわれているが、お心の内はどうか知れたものではない。
堀田はそんな若造など眼にも入らぬといった様子で、足早に通り過ぎていった。
堀田を見送った後、若い岡山藩主は自分の態度に何か粗相があったのかと、しきりに首をひねっていた。
