
異種間恋愛
第12章 獣の正体と契り
私は急いで駆けた。
「……あっ」
見たことがあった。いつか木に凭れかかるようにして寝ていた彼だ。
これもまだ夢の続き? と思ったけれどジャスミンはいつものくりくりした目で私に頼るように見つめてくる。
これは、夢じゃない。
私がその青年を揺すれば金色の髪の毛が花と絡まり、投げ出された長い腕と脚がわずかに動いた。
「大丈夫っ? 起きてっ死んじゃだめ!!」
大きな声で喚けば美しい青年はゆっくりと瞼を開けた。心臓がようやく落ち着くかと思えば今度はその美しい顔で私の身体は正常に機能しなくなった。
見開かれたアーモンド形の瞳は綺麗な海色をしていた。
眠たそうに開かれたその瞳は妖艶だ。
薄い唇は少し開かれた。小麦色の肌は汚れひとつなくて美しい。
袖の広がった白いシャツから覗く腕や細いズボンがかたどる脚をみる限り余計なものが一切ついていない身体の美しさに見とれる。
「ん……」
薄い唇がゆっくり動く。
「大丈夫ですか?」
「なんだ?」
青年の発した声に唖然とする。
「え……」
「お前は朝からなにを騒いでいると聞いているんだ」
その低く落ち着く声には聞きおぼえがあった。
というより、初対面の人に対してどうしてこんな傲慢な物言いをするのだろう。
「あの、あなたがこんな所でひとりで寝ているから……びっくりしちゃって」
青年は仰向けになった身体を起こし、周りを見回した。
「綺麗だな……なんで俺はこんな所にいるんだ?」
「私も聞こうとしてたんだけど……」
青年は不思議そうに首を傾げた。その様子が可愛らしい。
「あ……あの、昨日は悪かった」
私の顔をまじまじと見つめていたかと思えば今度は急に顔を伏せて小さな声で呟いた。
昨日? この人は何を言っているんだろう。もしかして頭を打ったのかもしれない。
「何のことですか? あの、怪我とかしてません?」
「は?」
青年は顔を上げた。黄金の髪の毛と同じ色をした眉がしかめられる。
「お前頭大丈夫か? さっきから喋り方もいつもと違うし」
頭大丈夫かと聞きたいのはこっちだ。
黙っていれば神も恐れをなすほど美しいのに、口を開けばただの変な人じゃないか。
「……あっ」
見たことがあった。いつか木に凭れかかるようにして寝ていた彼だ。
これもまだ夢の続き? と思ったけれどジャスミンはいつものくりくりした目で私に頼るように見つめてくる。
これは、夢じゃない。
私がその青年を揺すれば金色の髪の毛が花と絡まり、投げ出された長い腕と脚がわずかに動いた。
「大丈夫っ? 起きてっ死んじゃだめ!!」
大きな声で喚けば美しい青年はゆっくりと瞼を開けた。心臓がようやく落ち着くかと思えば今度はその美しい顔で私の身体は正常に機能しなくなった。
見開かれたアーモンド形の瞳は綺麗な海色をしていた。
眠たそうに開かれたその瞳は妖艶だ。
薄い唇は少し開かれた。小麦色の肌は汚れひとつなくて美しい。
袖の広がった白いシャツから覗く腕や細いズボンがかたどる脚をみる限り余計なものが一切ついていない身体の美しさに見とれる。
「ん……」
薄い唇がゆっくり動く。
「大丈夫ですか?」
「なんだ?」
青年の発した声に唖然とする。
「え……」
「お前は朝からなにを騒いでいると聞いているんだ」
その低く落ち着く声には聞きおぼえがあった。
というより、初対面の人に対してどうしてこんな傲慢な物言いをするのだろう。
「あの、あなたがこんな所でひとりで寝ているから……びっくりしちゃって」
青年は仰向けになった身体を起こし、周りを見回した。
「綺麗だな……なんで俺はこんな所にいるんだ?」
「私も聞こうとしてたんだけど……」
青年は不思議そうに首を傾げた。その様子が可愛らしい。
「あ……あの、昨日は悪かった」
私の顔をまじまじと見つめていたかと思えば今度は急に顔を伏せて小さな声で呟いた。
昨日? この人は何を言っているんだろう。もしかして頭を打ったのかもしれない。
「何のことですか? あの、怪我とかしてません?」
「は?」
青年は顔を上げた。黄金の髪の毛と同じ色をした眉がしかめられる。
「お前頭大丈夫か? さっきから喋り方もいつもと違うし」
頭大丈夫かと聞きたいのはこっちだ。
黙っていれば神も恐れをなすほど美しいのに、口を開けばただの変な人じゃないか。
