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異種間恋愛

第13章 秘密の大きさ


「ここが……」
「そうだ、感動したか?」
 ラドゥが誇らしげに聞く。
 そういえば、ここはレオの実家なのだと思い出してこっそりレオの横顔を盗み見た。
「……」
 レオは何を言うでもなくただ入口を睨むように眺めている。
 レオの手を強く握り直した。
「ラドゥ様!!」
「なんだ騒がしいぞ、リュカ」
 入口の扉が開いたかと思うと中から昨日見た男が私たちのほうへ駆けよってきた。
「当り前です。一国の王子ともあろうお方が無断で姿をくらますなんて民に知れたらどうなることか……はっ、リ、リア様?!」
 私は指に絡みついていたラドゥの手を無理矢理引き剝がすと男に一礼した。
 レオが自然と手を離した。
「リア様、ご無事でしたか。本当に良かったです」
 崖から王族が飛び降りてもしものことがあれば一緒にいたこの男に迷惑が掛っていただろう。
 申し訳ない気持ちになって俯いた。
「ご無事でなりよりでございます。して、隣りの方は?」
「ははっ、聞いて驚くな。こいつはティオンだ」
「……」
 固まるリュカ。
「ほら、とにかく入れ。特別に俺の部屋に入れてやる」
 扉の中へ進むラドゥに続くようにレオは私を促した。
 私たちは石になったリュカを残して城に入った。
 レオはやはり城の者たちの間では知られているのだろう。どのように言い伝えられているのか気になる。城の中は今まで見てきたどんな場所よりも豪華で重みがある所だった。
 美しいというよりは恐ろしい感じがした。
「まあ、かけろ」
 ラドゥの部屋は部屋というより大きな一軒家のようだった。
 こんな所で暮らしている人がいるなんて信じられない。

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