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異種間恋愛

第13章 秘密の大きさ

 ふと、気付いた。
「レオの部屋もここだったんじゃない?」
 代々王子の部屋なら、レオの部屋であった可能性もある。
「そうだったかもな」
 どんなことを思っているのか凛とした彼の表情からは分からない。レオの心を覗きたい。
「変な感じだ。それよりお前はいつまでティオンのことを変な名前で呼び続ける」
「変な名前って……」
 レオが近くにあったソファに腰をおろした。赤い革のソファがレオの大きな身体を受けてすこししなった。
「俺の名はレオになった。文句は言わせない」
「ふん。だが、お前の元の名前を消すことはできない。既に家系図に書き込まれているからな」
 王族は代々家系図を作成しており、そこに一度名前を書けば消すことはできない決まりになっている。私の名前もストラの名前も、ラドゥもそこに書かれている。
 私は考えた。
「それなら付け加えればいいわ」
『は?』
 ふたりの声が重なった。私はレオに微笑んだ。
「ティオン、ティオン、レオ。あっ。レオンティオンにしましょう」
「レオンティオン」
 レオが呟いて私の顔を見た。すごく素敵な笑顔だ。
「本当に名前をつけるのが好きな奴だ」
 いつか言われた言葉だ。私の胸から顔を出したジャスミンがきゅっきゅと鳴いた。
 ラドゥは不機嫌そうに私とレオの間に入ってきた。眉に皺が寄っている。
「名前はそれでいい。リュカに伝えておこう。リア、お前は今日からこの部屋で生活しろ。ティオンには別の部屋を用意させる」
 突然なにを言い出すかと思えば、王子はどこまで傲慢なのだろう。私は呆れたのと呆然としたのとで口をぽかりと開いた。
「ふざけるな」
 レオの低い声は苛立ちを含み鋭く部屋に響いた。
「ふざけてなどいない。こいつは俺の正室候補だ。仮にお前が俺に勝ったとしてもそれまでは俺のものだ」
「リアは俺と同じ部屋だ。今は俺の……」
 レオが言葉を詰まらせた。
「ものか?」
 ラドゥが面白そうに聞くとレオがラドゥの顔を睨んだ。
「リアはものじゃない」
 私は自分の身体が締め付けられる切ない想いに支配されるのを感じた。レオと森にいるときによく感じたものだ。
「だが、リアが言うにはこいつはすでにストラ……」

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