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異種間恋愛

第13章 秘密の大きさ

「ああっ」
 ラドゥは言葉を遮られて一瞬不可解な表情をして私をじっと見た後、なにか悟ったように静かに笑った。
 レオにはストラスと私が婚姻を結んでいることを言っていない。そんなこと言う機会がなかったし、そもそも昨日ラドゥに会うまで自分が既婚者であることを意識などしていなかった。
 もし、レオにそんなことが知れれば私はどう思われるだろう。ラドゥがストラスの名前を出した時に私はどうしようもなく恐くなった。
「リア?」
 突然、大声を出した私とそれを不敵な笑みで見つめるラドゥを交互に見つめたレオは首を傾げた。
「ふうん。なるほどな」
「なにがだ?」
 ラドゥが私を真っ赤な瞳で見つめ続ける。私は身動きひとつできない。
「そうか、そうか。いや、なんでもない」
 ラドゥはわざとらしく頷いて私の顎を掴んだ。
「俺かティオンか。どっちの部屋に泊まるかはリアに決めさせればいい。違うか?」
 ラドゥの視線が私に鋭く絡み付く。脅されている。そう気付いたときにはもう全てが遅かった。逆らえばレオにストラスとのことを話されてしまう。
 本当は今すぐ話すべきなのかもしれない。でも、レオに自分の気持ちをためらうことなく伝えた後で実は結婚してました。なんて言う女をレオが想い続けてくれるはずがない。
 どうせばれる時がくるとは分かっているけれど……どうすれば。
「ああ。リア、どっちがいい?」
 レオが私の顎からラドゥの手を解いて真剣な顔で私を見る。
 ラドゥの赤い瞳とレオの純粋な青い瞳に見つめられる。正反対のその色が私の頭をますます混乱させた。
「私、一人部屋がいいです」
 導き出した答えにふたりはしばし沈黙した。
「それがお前の答えか?」
 ラドゥの声が恐い。
「それが一番いいな」
 レオが私の頭もぽんぽんと叩いた。それだけですごく幸せになってしまう。
「そんなくらいでだらしのない顔をするな。頭を撫でるくらいなら俺がいくらでもやってやるぞ」
「結構です」
「随分、反抗的な態度だな。まあ、いい。お前らの部屋はすぐに用意させよう」
 私はこっそり胸を撫で下ろした。
「ラドゥ様! 隣りの方は本当に……ティオン様なのですかっ!?」

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