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異種間恋愛

第13章 秘密の大きさ

 次の日からレオとラドゥは道場に行ってはフェンシングをしたり、アスリアス王国の歴史や地理の問題を互いに出し合ったり、諸外国の言語で論議し合ったりしていた。
 当然のごとく一人にされた私は城をこっそり探検し出した。そんな日が一週間ほど続いた。
 驚いたことに城内には人がほとんどいない。
 たまにすれ違った人は全て城に使える執事か侍女で、都や地方から連れてこられてきているはずの若者たちの姿は全く見なかった。 
 大勢の若者がいるはずなのに……どこに行っているのだろう。
 そもそも王国は彼らを使ってなにをしているというのだろうか。手先の器用なもの、勉学がずば抜けてできるもの、腕っぷしの強いもの……。
 城の最上階に行くことは禁じられていたけれど、それ以外の場所には本当に自由に出入りした。
 昼過ぎに侍女の出してくれた美味しいスープを飲んだ後に食堂の窓から覗いた城の周りには広い庭と呼ぶべきか公園と呼ぶべきか迷うほど大きなスペースがあった。そして、目を凝らしてようやく見える場所にいくつか建物が建っているのが見えた。城の入り口と正反対の位置にそれらの建造物があるため、その存在に気付くのは城に入らなければ無理だろう。
 建物が見えるのを防ぐように横に長い城と高い塀が築かれている。
 もしかしたら、あの建物の中に……。
「リア」
「あ、レオっ」
 金色の柔らかな髪が汗で湿ってレオの顔に張り付いている。首に汗が伝っている。
「フェンシング?」
「ああ」
 レオが首から下げていたタオルで汗を拭き取ってやるとレオがくすぐったそうに身体を揺らした。
「どうだった?」
「傲慢なだけの王子じゃないな」
 私はふたりが剣術を磨きあっているところを見たことはないけれど、二人の様子からしてどちらもよほど腕がいいことは想像できた。

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