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異種間恋愛

第13章 秘密の大きさ


「それで、ずっと森をつたってここまで来たのか?」
「うん」
 毎日、夕食は三人揃って食べる。その間に今までのことを話すようになった。ラドゥは私に敬語を使うことを禁止した。どうしてかはよく分からない。
「どれくらい歩いた?」
「10日間くらいかな」
 正面にいるレオを見やる。
「ああ、それくらいだろう」
 そう言って、レオがフォークにささった白身魚と木苺のソースを口に含んだ。城での食事はどれも驚くほど美味しい。それに一度出てきたものはよほど誰かが食べたいと言わない限り再度出てくることはない。
「本当にお前らは面白いな。もっと聞かせろ」
 偉そうな物言いをするラドゥの瞳は少年のように輝いていた。それも純粋無垢という言葉が似合うような。
 そんなラドゥを見ているとつい気を許してしまいそうになるけれど、相手は傲慢で腹黒い王子なのだとその都度自分に言い聞かせた。
「一番気になっているのはティオンがどうやって呪いを解いたかだ」
「……う」
 おおよその予想はついていたけれど、口にするのは恥ずかしい。
「悪魔との契約は信じていないのに呪いは信じているのか?」
 レオが口の周りの拭きながら興味深げに聞いた。
「悪魔との契約で王が悪魔になったなんてことを信じていないだけだ。呪いがなければお前があんな姿になった説明がつかない。俺は見たんだからな。リアを谷底に落ちるのを救った獣の姿を」
「見るまでは信じてなかったみたいな言い方だ」
「信じてたわけないだろう。だから、驚いた」
 ラドゥはフォークとナイフで小さく肉を切るくせに口にはあまり運ばない。私は皿に乗っているもの全てを平らげてしまうというのにラドゥはほとんど残している。
 私が食事を前に手を合わせるのを面白そうに見た後も、パンをちぎる私の手を見つめ続けているだけのように思う。
「本当か?」
 レオは探るように、というよりも半ば案じるようにラドゥの顔をまじまじと見た。
 ラドゥも目を逸らさない。
「……。それよりもお前の話だ。どうやって呪いを解いた?」
 なにか思い当たることがあるような反応のラドゥに私も首を傾げた。
「呪いにも期限はある」
「え?」
 予想しなかったレオの言葉に耳を疑った。

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