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異種間恋愛

第15章 暴かれた婚姻

 皆美しい顔をしていた。
「あの、この方は?」
 深緑の髪を肩の上でぱっつりと切った色の白い美少女がレオの顔をじっと見入って言った。
「ああ、王族の者だ」
「あら、どうりですごく素敵なのですわね。お名前は?」
 少女は赤く紅を塗った唇を動かしながら上目使いにレオを見つめ続ける。
「……」
 レオは気にする様子もなく目を閉じて私に汗を拭かせていた。
「レオンティオンだ」
 代わりにラドゥが答えると女たちは口ぐちにレオの名前を口にした。
 ラドゥはなぜか意地の悪い笑みを浮かべている。ラドゥの視線が私を捉えた。赤い瞳がぎらりと光って私は急いで目をそらした。
「レオン様、私はキアナと言いますの。レオン様はこのお城にお住みになっていらっしゃいますの?」
 緑色の髪をしたキアナは私たちのところへ小走りで来ると、私の存在に気が付いていないかのようにレオの真正面にぴたりと座った。
 レオがキアナさんの気配にしぶしぶといった様子で瞼を上げる。
「きゃあっ」
「まあ」
「あら」
「なんて……素敵なの」
 周りにいた女たちも一斉に息を呑みレオの顔に見入っているようだ。居心地が悪くなってきた私は膝を立てて後ずさった。
「真っ青な瞳ですのね。澄んでいてとても美しいですわ」
 キアナさんがレオの手をとってまたも上目使いでレオを見た。今度は息がかかりそうなくらいの距離で。
 私はもやもやした気持ちをどうしようかと思いを巡らせていた。レオとキアナさんがこうしているのはすごく絵になる。これは事実でしかない。
 男らしいレオと女の子らしさを限界まで主張した少女が手をとりあう様子は絵本に出てくる王子様とお姫様そのものだった。
「やめろ」
 レオが短く言って、キアナさんの手を振り払った。あまりにそっけなく乱暴な払い方に彼女は数秒間ショックをうけたように固まっていた。
 こんなに可愛い雰囲気の子だ。今までこんな扱いを受けたことがないのだろう。私は気の毒になってしまった。
「リア、行くぞ」

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