
異種間恋愛
第15章 暴かれた婚姻
あまりに自己中心すぎるラドゥにさすがに腹が立ってきた。
「リア、ラドゥ様にそんな口をきいてはいけないよ」
ストラスがくぐもった声を上げた。驚いてストラスを見やると、もう鎧をしっかり被っていた。
「いいんだ。俺が敬語はやめるように言ったんだ。おい、頼む」
何人か練習場の隅に控えている男たちに声をかけると無駄な動きを一切せずに審判が用意しだした。
そしてラドゥも鎧を身に着ける。
誰も止めようとしないなんて……。
「レオ」
縋るようにレオを見上げるとレオは厳しい顔をしていた。
「本人の意思だ」
意思と言ってもラドゥに逆らえないからなのに。
「でも……」
「危なくなったら止める」
レオがそう言って私の頭をまた撫でた。レオがいるなら大丈夫だろう、と途端に安心してしまう。
動き出す前のストラスを不安な思いで見ていた私は彼が動き出した一瞬ですっかり心配していたことなど忘れてしまった。ラドゥの動きも機敏なのに、ストラスはまるで風と遊んでいるようにひらりひらりと優雅にラドゥの剣を払いのけ、軽々とラドゥの鎧に剣を突く。
練習場にいた誰もがその動きに見とれているのだろう、審判すらストラスがラドゥに一本とった後に掛け声を叫ぶのに長すぎる間があった。
「なるほどな」
レオがぼんやりと呟いた。
ストラスが怪我をしているのでもまだまだ十分すぎる力の差があることをラドゥは分かっていたのだろう。
ストラスはあまり自分から攻撃をするのではなくラドゥの攻撃をかわし、かわし、その僅かな隙に突きをいれる。その数少ない攻撃があまりに的確なのだ。
あっという間に勝負はついてしまったように思えたが、それは見とれていたせいかもしれない。
「やっぱり、ストラス・シャレット・リーゼロッテだな」
審判たちが口ぐちに囁くのが聞こえた。ストラスが時々フェンシングの大会に出かけていくのは知っていたけれど、都にいる人にも知られるほどの腕を持っているなんて今まで全然知らなかった。
「リア、ラドゥ様にそんな口をきいてはいけないよ」
ストラスがくぐもった声を上げた。驚いてストラスを見やると、もう鎧をしっかり被っていた。
「いいんだ。俺が敬語はやめるように言ったんだ。おい、頼む」
何人か練習場の隅に控えている男たちに声をかけると無駄な動きを一切せずに審判が用意しだした。
そしてラドゥも鎧を身に着ける。
誰も止めようとしないなんて……。
「レオ」
縋るようにレオを見上げるとレオは厳しい顔をしていた。
「本人の意思だ」
意思と言ってもラドゥに逆らえないからなのに。
「でも……」
「危なくなったら止める」
レオがそう言って私の頭をまた撫でた。レオがいるなら大丈夫だろう、と途端に安心してしまう。
動き出す前のストラスを不安な思いで見ていた私は彼が動き出した一瞬ですっかり心配していたことなど忘れてしまった。ラドゥの動きも機敏なのに、ストラスはまるで風と遊んでいるようにひらりひらりと優雅にラドゥの剣を払いのけ、軽々とラドゥの鎧に剣を突く。
練習場にいた誰もがその動きに見とれているのだろう、審判すらストラスがラドゥに一本とった後に掛け声を叫ぶのに長すぎる間があった。
「なるほどな」
レオがぼんやりと呟いた。
ストラスが怪我をしているのでもまだまだ十分すぎる力の差があることをラドゥは分かっていたのだろう。
ストラスはあまり自分から攻撃をするのではなくラドゥの攻撃をかわし、かわし、その僅かな隙に突きをいれる。その数少ない攻撃があまりに的確なのだ。
あっという間に勝負はついてしまったように思えたが、それは見とれていたせいかもしれない。
「やっぱり、ストラス・シャレット・リーゼロッテだな」
審判たちが口ぐちに囁くのが聞こえた。ストラスが時々フェンシングの大会に出かけていくのは知っていたけれど、都にいる人にも知られるほどの腕を持っているなんて今まで全然知らなかった。
