
異種間恋愛
第15章 暴かれた婚姻
「もう! 無理しちゃだめって言ったのに」
ベッドに横たわるストラスは怪我人そのものでこんな身体であんなに激しく動いていたことが信じられない。
「大丈夫だよ。でも、負けてしまったのは悔しいな。リアに初めて見てもらった日に負けるなんてついてないね」
「ストラ……」
「こんな体での2回目の試合だ」
レオがそう言うとラドゥが鼻で笑った。
「お前、今まで俺とやっている時は手を抜いていただろ」
「さあな」
レオは窓の外を眺めながら答える。遠い目をしている。レオの今見ているものを私も見たい。
「僕とやってる時も本気ではなかったみたいだね」
ストラスがレオの視線を追うように窓のほうを見た。
私はストラスの頭が動いたことでずれた枕の位置を直す。ストラスの白く細長い首を指でなぞる。傷はもう塞がってきているだろうか。
「怪我人相手に本気が出せるか」
「はは、まさに騎士道精神だね……実践では通用しないけれどね。でもこんなところにいる時点でレオンは兵士ってわけでもなさそうだね、その腕で兵士にもなっていないってことは王族かな?」
ストラスがにこにこと微笑みながら言う。誰に対してもこの笑顔は変わらない。そこが誰からも好かれる秘訣なのかもしれない。
しかしその裏には鋭く相手を観察するストラスがいる。
「まあ、そうなるな」
曖昧なレオの返事にもストラスは怪訝な表情ひとつせずになにか見極めるようにレオの後ろ姿を眺める。
「グラドの兄を知っているか?」
ストラスは驚いたようにラドゥのほうに顔を向ける。私はストラスの頭と首が痛まないか気になってしかたない。
「……グラド様にご兄弟はおられません」
すこし間があってからゆっくりと穏やかな声を出すストラスにラドゥが首を振った。
「嘘は嫌いだ。お前ならどうせ知っているのだろう」
「申し訳ありません。真偽が確かではありませんが、グラド様には兄上がいらっしゃったと聞いたことが……」
私はレオの様子を窺った。レオは窓の外を眺めたままだ。
「それは真だ。その兄がここにいる」
「は?」
ストラスらしくない間の抜けた声と大きく開かれた口。
ストラスはラドゥの顔を眺め、ラドゥは面白そうに口元に笑みを浮かべ、レオは何も聞こえていないように部屋に視線を向けない。
「レオ」
私がレオに呼びかけると、ようやくレオがこちらを向いた。
ベッドに横たわるストラスは怪我人そのものでこんな身体であんなに激しく動いていたことが信じられない。
「大丈夫だよ。でも、負けてしまったのは悔しいな。リアに初めて見てもらった日に負けるなんてついてないね」
「ストラ……」
「こんな体での2回目の試合だ」
レオがそう言うとラドゥが鼻で笑った。
「お前、今まで俺とやっている時は手を抜いていただろ」
「さあな」
レオは窓の外を眺めながら答える。遠い目をしている。レオの今見ているものを私も見たい。
「僕とやってる時も本気ではなかったみたいだね」
ストラスがレオの視線を追うように窓のほうを見た。
私はストラスの頭が動いたことでずれた枕の位置を直す。ストラスの白く細長い首を指でなぞる。傷はもう塞がってきているだろうか。
「怪我人相手に本気が出せるか」
「はは、まさに騎士道精神だね……実践では通用しないけれどね。でもこんなところにいる時点でレオンは兵士ってわけでもなさそうだね、その腕で兵士にもなっていないってことは王族かな?」
ストラスがにこにこと微笑みながら言う。誰に対してもこの笑顔は変わらない。そこが誰からも好かれる秘訣なのかもしれない。
しかしその裏には鋭く相手を観察するストラスがいる。
「まあ、そうなるな」
曖昧なレオの返事にもストラスは怪訝な表情ひとつせずになにか見極めるようにレオの後ろ姿を眺める。
「グラドの兄を知っているか?」
ストラスは驚いたようにラドゥのほうに顔を向ける。私はストラスの頭と首が痛まないか気になってしかたない。
「……グラド様にご兄弟はおられません」
すこし間があってからゆっくりと穏やかな声を出すストラスにラドゥが首を振った。
「嘘は嫌いだ。お前ならどうせ知っているのだろう」
「申し訳ありません。真偽が確かではありませんが、グラド様には兄上がいらっしゃったと聞いたことが……」
私はレオの様子を窺った。レオは窓の外を眺めたままだ。
「それは真だ。その兄がここにいる」
「は?」
ストラスらしくない間の抜けた声と大きく開かれた口。
ストラスはラドゥの顔を眺め、ラドゥは面白そうに口元に笑みを浮かべ、レオは何も聞こえていないように部屋に視線を向けない。
「レオ」
私がレオに呼びかけると、ようやくレオがこちらを向いた。
