テキストサイズ

異種間恋愛

第15章 暴かれた婚姻

「俺がその兄だ」
「……」
 ストラスがゆっくりと、本当にゆっくりと首を動かす。レオと目が合うと大きくない目を限界まで見開いた。灰色の瞳がゆれている。
「ティオン様?」
「ああ。いまはレオンティオンだがな」
 ストラスがすごい勢いで立ち上がろうとした。それを瞬時にレオが止めた。
「今までのご無礼をどうぞお許しください」
 その代わりにレオは深々と頭を下げた。
「俺は追放された王族だ。そんな扱いは必要ない」
 ストラスは礼儀正しく、上下関係を特に気にする。レオはグラドの兄で本来正当な血筋をひく者だったが、弟の陰謀により姿を消した。ラドゥはグラドから受け継がれた血筋で現在王子として城にいる。
 その二人が同じ部屋にいるとなると、どのように二人に接すればいいのか分からなくなるのは当然だろう。一方の肩を持てば、もう一方を敵に回すことになりかねない。あくまでも普通で考えればの話だが。
「それよりもこれ以上リアの顔色を悪くさせないでくれ」
 そうレオが付け加えた。ストラスの頭が動くたびに私は気が気ではない。
「リア……」
「ティオンのことは他の者に一切言うなよ。言えば。父上がすぐに動く」
 ラドゥが腕を組みながら言い放つ。
「分かりました。ラドゥ様、ティオン様。お願いが」
「レオンでいい」
「レオン様。少しの間リアとふたりにして頂きたいのですが」
 レオとラドゥが同時に顔をしかませた。
 真実を告げられた時に私が混乱したのと同じように今のストラスもかなり混乱しているのだろう。
「ストラが混乱したままだと身体にも悪いし、私に任せて」
 そう言うとレオがひとつ頷いて、渋い顔をしたラドゥと一緒に部屋を出て行った。
 ベッドに横になるストラスを窺う。森での出来事以来、初めて二人っきりになったのに、色々なことがありすぎてどうすればいいのか分からない。
 聞きたいことも話したいこともたくさんある。
「レオン様は本当に……」
「本当よ」
 私が答えるとストラスは目を閉じて深く呼吸をした。
「そうか」
「ストラ、さっき伝説って言ってたけどそれってどういう内容なの?」
 私はそんな伝説なんてもの聞いたことがない。王が悪魔にどうとかも聞いたことがなかったくらいだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ