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異種間恋愛

第2章 出会い

「……運んでくれるの?」
「いま言っただろ。何度も言わせるな、死なせたいのか?」
 私は勢いよく首を横に振ると獣は四肢を折って地面に伏せるようにしたので、その上にストラスの身体をなんとかひきずって乗せた。
 獣が立ちあがると私はストラスが落ちないかはらはらしたが、案外安定しているようでストラスは安らかに寝息を立てて獣の背中で寝ているようにも見えた。
 さらに、顔色も血色よくなってきているように見えて、首筋を見ると血が止まっていて驚いた。
 森の西へ向かって獣と歩いて行くとしばらくして村の入り口が見えてきた。
「俺は森から出られない。ここまでだ」
「うん……」

 私はストラスを地面に優しく寝かせると村に向かって全力で駆けて行った。
 買い物をしていたひとたちにストラスが誤って怪我をしてしまったと言うと皆が驚き慌ててすぐに森の外れまで医者を連れてきてくれた。
「ストラスっ!」
「ス、ストラ様!?」
「どうして、こんな……」
「おい、リトルを呼べっ!早く治療をっ」
 あっという間に沢山の人がストラスになにかあったと聞くなり集まって、気を失っているストラスを見ると悲鳴を上げて倒れる女も、男泣きする者もいた。
 ストラスが村人たちの手で丁寧に村へ運ばれて行くのを見て私はそっと森の中へ入って行った。

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