
異種間恋愛
第16章 見えない想い
「なんだ、こそこそして」
ラドゥが若干頬を膨らませて私とストラスを睨んだ。すぐに機嫌が直るほうではないらしい。
「なんでもないわ」
私は両手を胸の前で合わせた。
「何のポーズかな?」
ストラスが不思議そうな顔をして私の手を見つめる。
「ああ、こいつはいつも食事の前に祈るんだ」
「祈る? リアはそんなこといつもしてなかったよね。どうしたの?」
ラドゥはそう言いながらも自分も私のマネをして毎日手を合わせている。ラドゥにとっては遊び半分、というよりほとんど遊びなのだろうけれど。
「祈りじゃないわ。感謝よ。食べ物に生き物にありがとうって言ってから食べなきゃ失礼って気付いたのよ」
フォークとナイフを握りしめ、どの皿から片付けようかと考えながら言う。
「リア……」
「ストラスはいちいちリアに感動しすぎだ。リアだってもうすぐ19になるんだ。もう子供じゃない」
ラドゥが苛立っている。確かにそうかもしれない。
私は実の両親がいないけれど、実際にいたとしてもストラスのように甘やかしたり過保護にしたりはしなかっただろうと時々考える。
「それとも婚姻の儀を行ったからか?」
いつもと違う真剣な声を出すラドゥに私も黙り込んでしまう。
「……ご存じだったんですね」
「リアは俺の正室候補だ。それは知っていただろ? こっちの記録にお前らが夫婦であることは記されていない。勝手に儀を行ったな」
ラドゥは私を脅すためだけのネタにしていたのかと思っていたけれど、ちゃんと調べていたのだと驚いた。
「知っていたからこそ、そうしました」
ストラスがまっすぐにラドゥを見た。ストラスの挑戦しているような目は珍しい。
「ストラどういうこと?」
「つまり、俺にとられないうちに自分のものにしたってことか?」
ストラスは頷いた。
ストラスはラーナが酷い状況にあることも城内でなにかよくないことが行われていること、悪魔のことも知っていた。そんなところに私を行かせるわけにはいかないと考えたのだろう。
「だが、甘いな。儀などなんでもない」
「それも分かっています。儀を行った後はリアを村から出さずに」
「自分の手の届く範囲で飼うつもりだったのか。それで、俺がリア抜きで正室を決めてから正式に夫婦になろうと?」
ラドゥが若干頬を膨らませて私とストラスを睨んだ。すぐに機嫌が直るほうではないらしい。
「なんでもないわ」
私は両手を胸の前で合わせた。
「何のポーズかな?」
ストラスが不思議そうな顔をして私の手を見つめる。
「ああ、こいつはいつも食事の前に祈るんだ」
「祈る? リアはそんなこといつもしてなかったよね。どうしたの?」
ラドゥはそう言いながらも自分も私のマネをして毎日手を合わせている。ラドゥにとっては遊び半分、というよりほとんど遊びなのだろうけれど。
「祈りじゃないわ。感謝よ。食べ物に生き物にありがとうって言ってから食べなきゃ失礼って気付いたのよ」
フォークとナイフを握りしめ、どの皿から片付けようかと考えながら言う。
「リア……」
「ストラスはいちいちリアに感動しすぎだ。リアだってもうすぐ19になるんだ。もう子供じゃない」
ラドゥが苛立っている。確かにそうかもしれない。
私は実の両親がいないけれど、実際にいたとしてもストラスのように甘やかしたり過保護にしたりはしなかっただろうと時々考える。
「それとも婚姻の儀を行ったからか?」
いつもと違う真剣な声を出すラドゥに私も黙り込んでしまう。
「……ご存じだったんですね」
「リアは俺の正室候補だ。それは知っていただろ? こっちの記録にお前らが夫婦であることは記されていない。勝手に儀を行ったな」
ラドゥは私を脅すためだけのネタにしていたのかと思っていたけれど、ちゃんと調べていたのだと驚いた。
「知っていたからこそ、そうしました」
ストラスがまっすぐにラドゥを見た。ストラスの挑戦しているような目は珍しい。
「ストラどういうこと?」
「つまり、俺にとられないうちに自分のものにしたってことか?」
ストラスは頷いた。
ストラスはラーナが酷い状況にあることも城内でなにかよくないことが行われていること、悪魔のことも知っていた。そんなところに私を行かせるわけにはいかないと考えたのだろう。
「だが、甘いな。儀などなんでもない」
「それも分かっています。儀を行った後はリアを村から出さずに」
「自分の手の届く範囲で飼うつもりだったのか。それで、俺がリア抜きで正室を決めてから正式に夫婦になろうと?」
