
異種間恋愛
第17章 見守る人
お昼過ぎに目覚めたリアは自分がベッドで寝ていることに驚いたのか、1分間固まったままソファで読書をしていた僕をおぼろげな表情で見つめていた。
僕は立ち上がるとベッドで上体だけを起こしているリアの目線に合わせるように屈んで左手を差し出した。
「これはこれは、遅いお目覚めで。リア様」
ふざけて言うとリアがはにかみながら右手を僕の手に乗せた。小さい手がたまらなく愛しい。
「ストラ、体調はどう?」
潤っている唇が言葉を紡ぎながら僕のリードに従ってベッドから立ち上がる様は本物のお姫様のようだ。ラドゥ王子が本気を出してしまえば本当に姫になってしまうのだろうけれど。
「お気遣い感謝致します。もう頭痛は治りました」
「もう、からかうのはやめてってば」
頬を膨らませて眉間に皺を寄せて僕を睨んでいるつもりかもしれないけれど、こんな可愛い顔されても怖くともなんともない。
僕はリアの可愛らしさに思わず頬が緩む。
そしてリアの頭を撫でた。
「そんなに面白い顔してた?」
なぜか嬉しそうに聞いてくるリアに首を横に振ることもできずに曖昧に笑って誤魔化した。
「ねえ、本当にもう頭は痛まないの?」
「心配しすぎだよ。それより、リア。もしかして徹夜で看病しててくれてたの?」
僕が聞くとリアが表情を一瞬強張らせた。すぐにあわてふためいたように表情をコロコロと変え始めた。
出た、百面相。どの顔も恐ろしく愛らしい。贔屓目だろうか。
「え。あの、えっと……」
なにか別にしてたことがあるのだろう。そんなこと容易に想像できてしまう。
それが何なのかも僕には予想がついていた。
机の上にあったインク壺の位置が寝る前に見たのと違っている。誰かに手紙を書いていた。誰か、なんてティオン様しかいないじゃないか。
その事実に気が付いたときに僕は脱力した。
リアが僕のために徹夜で看病してくれていたのではない。手紙を四苦八苦しながら書いていたら夜が明けてしまった……そんな所だろう。
「まあ、いいや。リア、お腹減ってるよね?」
リアがお腹に手を添えた。
そして、こくこくと何度も頷く。
「ぺこぺこ」
「じゃあ、降りようか」
ティオン様がここへ来たことを言わなければいけない理由はない。
そう自分に言い聞かせながらもやはり心のどこかで真っ黒なものが渦を巻いているのが分かった。
僕は立ち上がるとベッドで上体だけを起こしているリアの目線に合わせるように屈んで左手を差し出した。
「これはこれは、遅いお目覚めで。リア様」
ふざけて言うとリアがはにかみながら右手を僕の手に乗せた。小さい手がたまらなく愛しい。
「ストラ、体調はどう?」
潤っている唇が言葉を紡ぎながら僕のリードに従ってベッドから立ち上がる様は本物のお姫様のようだ。ラドゥ王子が本気を出してしまえば本当に姫になってしまうのだろうけれど。
「お気遣い感謝致します。もう頭痛は治りました」
「もう、からかうのはやめてってば」
頬を膨らませて眉間に皺を寄せて僕を睨んでいるつもりかもしれないけれど、こんな可愛い顔されても怖くともなんともない。
僕はリアの可愛らしさに思わず頬が緩む。
そしてリアの頭を撫でた。
「そんなに面白い顔してた?」
なぜか嬉しそうに聞いてくるリアに首を横に振ることもできずに曖昧に笑って誤魔化した。
「ねえ、本当にもう頭は痛まないの?」
「心配しすぎだよ。それより、リア。もしかして徹夜で看病しててくれてたの?」
僕が聞くとリアが表情を一瞬強張らせた。すぐにあわてふためいたように表情をコロコロと変え始めた。
出た、百面相。どの顔も恐ろしく愛らしい。贔屓目だろうか。
「え。あの、えっと……」
なにか別にしてたことがあるのだろう。そんなこと容易に想像できてしまう。
それが何なのかも僕には予想がついていた。
机の上にあったインク壺の位置が寝る前に見たのと違っている。誰かに手紙を書いていた。誰か、なんてティオン様しかいないじゃないか。
その事実に気が付いたときに僕は脱力した。
リアが僕のために徹夜で看病してくれていたのではない。手紙を四苦八苦しながら書いていたら夜が明けてしまった……そんな所だろう。
「まあ、いいや。リア、お腹減ってるよね?」
リアがお腹に手を添えた。
そして、こくこくと何度も頷く。
「ぺこぺこ」
「じゃあ、降りようか」
ティオン様がここへ来たことを言わなければいけない理由はない。
そう自分に言い聞かせながらもやはり心のどこかで真っ黒なものが渦を巻いているのが分かった。
