
異種間恋愛
第17章 見守る人
「リアはどこだ」
ラドゥ王子が険しい顔をして僕に迫ってくる。
白い肌に彫りの深い顔で、人を見下すような癖のある目つきはまさに王子といった容姿。
中性的な僕とも端正な顔をしたティオン様とも違うラドゥ王子の造形美はさすが国で騒がれることはある。
男の僕が見ても羨ましい独特の色気と魅力を感じる。
「さっきまで中庭でジャスミンと……リスと遊んでいましたが」
「餓鬼だな」
そこがいいんです。
という言葉を呑み込んで、肯定でも否定ともとれる表情を作る。
「ストラス」
「なんでしょう」
突然改まって名前を呼ばれて驚く。
「お前には聞きたいことが山ほどある」
「山ほど、ですか」
「そうだ。まず、その顔をやめろ」
は?
真剣な顔で何を言い出すのかと思えば……何を言い出しているのか全く分からないじゃない。
「お前は表情を自分で作ってるだろ。自分の感情をそのまま表に出せないのか?」
「なんのことか……」
「分からないはずない。すぐにとは言わない。俺はお前の能力は認める。でもな、お前のその作ったような笑顔も穏やかな表情も見る度に胸がモヤモヤする。これは命令だ。どうにかしろ」
どうにかしろ、と言われても……自分の感情をそのまま表に出す?
そんな恐ろしいことできるはずがない。僕は醜い。ラドゥ王子ともティオン様ともリアとも違う。
「できる限りのことはします」
「それだ。心にもないことを言うな」
どうしてここまで見抜かれてしまうのだろう。ラドゥ王子とはそんなに深い付き合いもない。
いつも表面上だけの会話を繰り返していただけなのに……。
「お。今の表情はいいな。その調子だ」
「ラドゥ王子」
「なんだ」
王子は嬉しそうに口元に笑みを浮かべている。なにがそんなに楽しいのだろう。
「王子はなにが目的ですか?」
僕の質問が唐突な上にどんな答えを求めているのか僕自身にも分からない。ラドゥ王子はどうしてか他人を気に掛ける癖があるように思う。何故ティオン様の正体を公にしないのか、何故リアを気にかけるのか、何故国王の暴走を止めないのか……。
ラドゥ王子が険しい顔をして僕に迫ってくる。
白い肌に彫りの深い顔で、人を見下すような癖のある目つきはまさに王子といった容姿。
中性的な僕とも端正な顔をしたティオン様とも違うラドゥ王子の造形美はさすが国で騒がれることはある。
男の僕が見ても羨ましい独特の色気と魅力を感じる。
「さっきまで中庭でジャスミンと……リスと遊んでいましたが」
「餓鬼だな」
そこがいいんです。
という言葉を呑み込んで、肯定でも否定ともとれる表情を作る。
「ストラス」
「なんでしょう」
突然改まって名前を呼ばれて驚く。
「お前には聞きたいことが山ほどある」
「山ほど、ですか」
「そうだ。まず、その顔をやめろ」
は?
真剣な顔で何を言い出すのかと思えば……何を言い出しているのか全く分からないじゃない。
「お前は表情を自分で作ってるだろ。自分の感情をそのまま表に出せないのか?」
「なんのことか……」
「分からないはずない。すぐにとは言わない。俺はお前の能力は認める。でもな、お前のその作ったような笑顔も穏やかな表情も見る度に胸がモヤモヤする。これは命令だ。どうにかしろ」
どうにかしろ、と言われても……自分の感情をそのまま表に出す?
そんな恐ろしいことできるはずがない。僕は醜い。ラドゥ王子ともティオン様ともリアとも違う。
「できる限りのことはします」
「それだ。心にもないことを言うな」
どうしてここまで見抜かれてしまうのだろう。ラドゥ王子とはそんなに深い付き合いもない。
いつも表面上だけの会話を繰り返していただけなのに……。
「お。今の表情はいいな。その調子だ」
「ラドゥ王子」
「なんだ」
王子は嬉しそうに口元に笑みを浮かべている。なにがそんなに楽しいのだろう。
「王子はなにが目的ですか?」
僕の質問が唐突な上にどんな答えを求めているのか僕自身にも分からない。ラドゥ王子はどうしてか他人を気に掛ける癖があるように思う。何故ティオン様の正体を公にしないのか、何故リアを気にかけるのか、何故国王の暴走を止めないのか……。
