
異種間恋愛
第2章 出会い
「どこにいるのーっ」
時折そう大きな声で叫びながら歩くが小さなリスやうさぎが草むらから顔を出すだけで獣の気配は全く感じない。
ふと足を止めて自分が歩いてきた道なき道に目をやる。
「……」
帰るに帰れないことにあらためて気付くが何も感じない。
むしろ清々しい気持ちすらしたのは森に入った時にこうなることを確信していたからだ。
もう、村には戻れない……ストラスの家で世話になっていたことの恩返しができないことは悔しいが私がまたストラスの元に戻ればまた彼は自分を傷つけかねない。
嫉妬という感情の他に私に対する罪悪感や同情の念が含まれているからこそ彼はあんなにも強い感情を抱いてしまうに違いない。
今回はなんとか怪我だけで済んだけれど、次はどうなるか分からない。
その前に私が消えてしまえばいい。
私の両親を殺したというのはどういう意味なのか、私のせいという理由も聞きたかったが聞いたところでふたりが戻ってくるわけではない。
それよりもストラスが命を落とすことのほうが恐ろしいのだ。
「幸せに……なってね」
誰も聞く人がいない森の中で呟くと胸が締め付けられるように痛んだ。
やっぱり、ストラスのことを好きだったのだ……ひとりの男として。
決して立派な愛とは呼べない幼い恋心だったのだろう、しかしそれでも実感するとさらに苦しくなった。
優しく笑うストラスの顔が浮かんできて私はその笑顔に似合わない涙を流す。
ふわり、と風が吹いて懐かしい香りが漂う。
……ストラスの灰色の髪の香りによくにていた。
「……また、泣いてるのか」
時折そう大きな声で叫びながら歩くが小さなリスやうさぎが草むらから顔を出すだけで獣の気配は全く感じない。
ふと足を止めて自分が歩いてきた道なき道に目をやる。
「……」
帰るに帰れないことにあらためて気付くが何も感じない。
むしろ清々しい気持ちすらしたのは森に入った時にこうなることを確信していたからだ。
もう、村には戻れない……ストラスの家で世話になっていたことの恩返しができないことは悔しいが私がまたストラスの元に戻ればまた彼は自分を傷つけかねない。
嫉妬という感情の他に私に対する罪悪感や同情の念が含まれているからこそ彼はあんなにも強い感情を抱いてしまうに違いない。
今回はなんとか怪我だけで済んだけれど、次はどうなるか分からない。
その前に私が消えてしまえばいい。
私の両親を殺したというのはどういう意味なのか、私のせいという理由も聞きたかったが聞いたところでふたりが戻ってくるわけではない。
それよりもストラスが命を落とすことのほうが恐ろしいのだ。
「幸せに……なってね」
誰も聞く人がいない森の中で呟くと胸が締め付けられるように痛んだ。
やっぱり、ストラスのことを好きだったのだ……ひとりの男として。
決して立派な愛とは呼べない幼い恋心だったのだろう、しかしそれでも実感するとさらに苦しくなった。
優しく笑うストラスの顔が浮かんできて私はその笑顔に似合わない涙を流す。
ふわり、と風が吹いて懐かしい香りが漂う。
……ストラスの灰色の髪の香りによくにていた。
「……また、泣いてるのか」
