
異種間恋愛
第18章 王子の暗闇
正直、耳を疑った。けれど、後でこっそりゴミ捨てを確認した時にそこに確かに私の出した手紙はあった。白い封筒が無様に折り曲げられていた。
もう、レオの気持ちは戻ってこない。そう確信した。
レオに想ってもらえないこの命なら、存分に他の人たちのために使えるじゃないか。
いつかストラスも村も捨てて森にはいってきた時に感じた感情がいっぺんに戻ってきた。でも、今回は失うものがなくなった清々しさよりも虚しさが心を支配している。
こんな気持ちでいつまでいても仕方ない。人の気持ちは無理に動かすものではない。
私は意を決してドアノブを捻った。
――ガチャ
以外にも平凡な音を立ててドアノブが周り腕を引くと扉があいた。
「え」
予想していた場所とは違う光景が目に飛び込んでくる。
「リア様!?」
「どうされました?」
そこにいたのは村から連れてこられた労働者たちなどではなく、身なりを整えた執事やメイドたちだった。
白い世界から解放されたその部屋の中は普通の部屋だった。使用人たちの住居のようなものだろうか。
忙しなく動き回っていた人たちが一斉に動きを止め、私に礼をした。
「ここは……?」
「ここはわたくしどもの準備室にございます」
奥から貫禄のある執事がゆっくりと歩いてきた。ラドゥに仕えているリュカだ。
「準備室?」
「はい。城内は王家の方々の神聖な場でございます。わたくしどものような身分の低いものが同じ場所で寝起きするわけにはいきませんので」
身分? 神聖? 王家?
私にはその理屈が理解できない。
「ところで」
頭の上にハテナを大量に膨らませる私をじっと見てリュカは首を傾げた。
「リア様はなぜこのような所へ?」
「あ……えっと、私、迷ってしまって」
言った瞬間にやってしまったと思った。迷うもなにも城の敷地内には広大な前庭と城、そして城の後ろのこの建物しかないのにどうやって迷うというのだ。
不審に思われれば、フローラさんの大切な人を救うチャンスを失う……。
もう、レオの気持ちは戻ってこない。そう確信した。
レオに想ってもらえないこの命なら、存分に他の人たちのために使えるじゃないか。
いつかストラスも村も捨てて森にはいってきた時に感じた感情がいっぺんに戻ってきた。でも、今回は失うものがなくなった清々しさよりも虚しさが心を支配している。
こんな気持ちでいつまでいても仕方ない。人の気持ちは無理に動かすものではない。
私は意を決してドアノブを捻った。
――ガチャ
以外にも平凡な音を立ててドアノブが周り腕を引くと扉があいた。
「え」
予想していた場所とは違う光景が目に飛び込んでくる。
「リア様!?」
「どうされました?」
そこにいたのは村から連れてこられた労働者たちなどではなく、身なりを整えた執事やメイドたちだった。
白い世界から解放されたその部屋の中は普通の部屋だった。使用人たちの住居のようなものだろうか。
忙しなく動き回っていた人たちが一斉に動きを止め、私に礼をした。
「ここは……?」
「ここはわたくしどもの準備室にございます」
奥から貫禄のある執事がゆっくりと歩いてきた。ラドゥに仕えているリュカだ。
「準備室?」
「はい。城内は王家の方々の神聖な場でございます。わたくしどものような身分の低いものが同じ場所で寝起きするわけにはいきませんので」
身分? 神聖? 王家?
私にはその理屈が理解できない。
「ところで」
頭の上にハテナを大量に膨らませる私をじっと見てリュカは首を傾げた。
「リア様はなぜこのような所へ?」
「あ……えっと、私、迷ってしまって」
言った瞬間にやってしまったと思った。迷うもなにも城の敷地内には広大な前庭と城、そして城の後ろのこの建物しかないのにどうやって迷うというのだ。
不審に思われれば、フローラさんの大切な人を救うチャンスを失う……。
