
異種間恋愛
第19章 初めての恋
今朝から体調が悪くて薬を飲んでいたんだ。
王子は贅沢三昧な日々を送れる、とは言うものの色々な仕事があるらしく今日も仕事が忙しかったのだろう。
こんなになるまで無理をするなんて……。
私はラドゥの頭を撫でてしまっていた。
「……何してるんだ」
「早く治るおまじない」
「民の間ではそんなものがあるのか」
いや、別にない。とは言えず今度はラドゥの胸のあたりをさするように一定のリズムで優しくたたく。
「それもおまじないか?」
え?
誰だってとんとん、と胸を撫でられることくらい経験があるだろう。
「されたことないの?」
「そんなに一般的なものなのか?」
質問を質問で返された。しかし、この様子からだとないのだろう。
そういえばラドゥのお母さんはどこにいるのだろう。女王様の噂は私の耳に入ってきたことがない。
「初めてだ……」
「なにが?」
ラドゥは答えようとせずにぷいっと顔を逸らした。
「とんとんやめるわよ?」
「……体調が悪くなった時に誰かが傍にいるのが。俺が寝るまでそうしててほしい」
「え……。う、うん。もちろんよ」
体調が悪くなったら普通、誰かが面倒を看てくれるんじゃ?
ラドゥのような地位にいる人なら使用人たちが大勢つくと思っていた。
それが、初めて看病をされたなんて……信じられない。
ただでさえ辛い体なのに、それを支える人がいないなんて……どれだけ苦しいか。
「なにか欲しいものはある?」
「ない」
「じゃあ、暑いとか寒いとかは?」
「ない」
「食べたいものは?」
「ない」
まるで母親と子供のような会話。
いささか欲がなくぶっきらぼうな子供だが……。
瞼を閉じて私の問いにめんどくさそうに答えるラドゥは弱弱しい。
「勘違いするな」
「え?」
「お前はただの玩具だ」
私は苦笑いしながら「はいはい」と頷いた。
玩具、なんて言葉にはラドゥなりの不器用な想いが少しはこもっている気がした。
「……出たいか」
私の生返事を聞いてからラドゥは囁くように私に聞いた。
この部屋から出たいか、という質問だろうか。出たいに決まっている。
あんなことをされたラドゥと同じ空間になんていたくない。
そう思っていたのに。
王子は贅沢三昧な日々を送れる、とは言うものの色々な仕事があるらしく今日も仕事が忙しかったのだろう。
こんなになるまで無理をするなんて……。
私はラドゥの頭を撫でてしまっていた。
「……何してるんだ」
「早く治るおまじない」
「民の間ではそんなものがあるのか」
いや、別にない。とは言えず今度はラドゥの胸のあたりをさするように一定のリズムで優しくたたく。
「それもおまじないか?」
え?
誰だってとんとん、と胸を撫でられることくらい経験があるだろう。
「されたことないの?」
「そんなに一般的なものなのか?」
質問を質問で返された。しかし、この様子からだとないのだろう。
そういえばラドゥのお母さんはどこにいるのだろう。女王様の噂は私の耳に入ってきたことがない。
「初めてだ……」
「なにが?」
ラドゥは答えようとせずにぷいっと顔を逸らした。
「とんとんやめるわよ?」
「……体調が悪くなった時に誰かが傍にいるのが。俺が寝るまでそうしててほしい」
「え……。う、うん。もちろんよ」
体調が悪くなったら普通、誰かが面倒を看てくれるんじゃ?
ラドゥのような地位にいる人なら使用人たちが大勢つくと思っていた。
それが、初めて看病をされたなんて……信じられない。
ただでさえ辛い体なのに、それを支える人がいないなんて……どれだけ苦しいか。
「なにか欲しいものはある?」
「ない」
「じゃあ、暑いとか寒いとかは?」
「ない」
「食べたいものは?」
「ない」
まるで母親と子供のような会話。
いささか欲がなくぶっきらぼうな子供だが……。
瞼を閉じて私の問いにめんどくさそうに答えるラドゥは弱弱しい。
「勘違いするな」
「え?」
「お前はただの玩具だ」
私は苦笑いしながら「はいはい」と頷いた。
玩具、なんて言葉にはラドゥなりの不器用な想いが少しはこもっている気がした。
「……出たいか」
私の生返事を聞いてからラドゥは囁くように私に聞いた。
この部屋から出たいか、という質問だろうか。出たいに決まっている。
あんなことをされたラドゥと同じ空間になんていたくない。
そう思っていたのに。
