
異種間恋愛
第4章 獅子の秘密
森は木々の陰があるため昼間でも町のように暑くはならず、真夏であるこの時期も快適に過ごせるほどだ。
レオは相変わらず大きな木に寄りそうようにして寝ている。
私もレオの隣に腰を下ろしてただぼんやりと考え事をし始めた。
ストラスはもう意識を取り戻しているのかな……いつ頃元気になるだろう。元気になって森であったことを覚えているのならストラスはきっとここへやって来るだろう。
――そしたら私はどうするの?
逃げるのか町へ帰るのか。町へ帰るなんて選択肢はとっくに捨てたはずなのに考えるとすこし安心してしまう自分がいる。
こんなに情けなく自分が嫌いになったことはないと思う。
ストラスと一緒にいると彼はまた苦しんで自分を傷つけるだろう。それは、嫌だ。
ストラスには私の親の死に関係したという負い目と私への愛情、執着心が混沌と渦を巻いて見わけがつかなくなっているのだろう。
負い目を感じることのない普通の女の子とならストラスはきっと幸せに……。
だからこそ、私が戻ってはいけない。
ストラスがここへ来たらすぐに逃げよう。そしてできるだけ遠い場所へ……国の都のほうに行けば人はたくさんいると聞くし、紛れて探しだされることもないだろう。
でも、その時が来るまではこの穏やかな森で過ごすのも悪くはないかもしれない。
生温かい風が私の首を撫でて振り向くとレオが大きな欠伸をしていた。
「レオは動物のお肉食べないの?」
「……食わない」
面倒くさそうに答えてまた顔を地面に伏せた。
「ライオンなのに?」
レオは何も言わない。静かな空気はとても澄んでいて向こうから鳥が囀る声が聞こえる。
「また寝たの?」
「いっそ、普通のライオンに……なり、たい」
くぐもった声が地面を揺らし、私のお尻に伝わってきた。
「え?」
普通のライオン?
やっぱり人間の言葉を話すレオは普通の獣ではないのだ。
元人間なのか怪物なのか……どちらにしろ相応の原因があってこそ今の姿になっているに違いない。
レオの過去に何があったのだろう。
「あなたは、レオは……誰なの?」
私が問うてもレオは微動だにしない。もう返事をする気がないのだと私でも分かった。
レオは相変わらず大きな木に寄りそうようにして寝ている。
私もレオの隣に腰を下ろしてただぼんやりと考え事をし始めた。
ストラスはもう意識を取り戻しているのかな……いつ頃元気になるだろう。元気になって森であったことを覚えているのならストラスはきっとここへやって来るだろう。
――そしたら私はどうするの?
逃げるのか町へ帰るのか。町へ帰るなんて選択肢はとっくに捨てたはずなのに考えるとすこし安心してしまう自分がいる。
こんなに情けなく自分が嫌いになったことはないと思う。
ストラスと一緒にいると彼はまた苦しんで自分を傷つけるだろう。それは、嫌だ。
ストラスには私の親の死に関係したという負い目と私への愛情、執着心が混沌と渦を巻いて見わけがつかなくなっているのだろう。
負い目を感じることのない普通の女の子とならストラスはきっと幸せに……。
だからこそ、私が戻ってはいけない。
ストラスがここへ来たらすぐに逃げよう。そしてできるだけ遠い場所へ……国の都のほうに行けば人はたくさんいると聞くし、紛れて探しだされることもないだろう。
でも、その時が来るまではこの穏やかな森で過ごすのも悪くはないかもしれない。
生温かい風が私の首を撫でて振り向くとレオが大きな欠伸をしていた。
「レオは動物のお肉食べないの?」
「……食わない」
面倒くさそうに答えてまた顔を地面に伏せた。
「ライオンなのに?」
レオは何も言わない。静かな空気はとても澄んでいて向こうから鳥が囀る声が聞こえる。
「また寝たの?」
「いっそ、普通のライオンに……なり、たい」
くぐもった声が地面を揺らし、私のお尻に伝わってきた。
「え?」
普通のライオン?
やっぱり人間の言葉を話すレオは普通の獣ではないのだ。
元人間なのか怪物なのか……どちらにしろ相応の原因があってこそ今の姿になっているに違いない。
レオの過去に何があったのだろう。
「あなたは、レオは……誰なの?」
私が問うてもレオは微動だにしない。もう返事をする気がないのだと私でも分かった。
