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異種間恋愛

第4章 獅子の秘密

 日が暮れるとひんやりとした空気で森が満たされ、焚き火の炎から少し距離を置いて座っていると調度心地よい温もりと涼しさの間に身を置ける。
 魚は今まで食べたどの魚よりも美味しく感じた。久しくを摂っていなかった栄養を目の前に私はレオとジャスミンが驚いて若干引いているのも気にせずどんどん魚を平らげていった。
「その小さい体のどこにはいっていくんだ」
 ジャスミンも頷くようにキュッと鳴いた。
「それを言うなら、レオはそんな大きな体なのにどうして少ししか食べなくて平気なの?」
 レオの体はライオンらしく堂々と大きい。おそらく300キロはあるだろう。
 レオを初めて見た時からレオが「ライオンの中のライオン」と呼ばれるバーバリライオンであることはすぐに分かっていた。
 他のライオンよりも身体が大きく、たてがみはでっぷりとしており、その毛は黄金でまさにライオンといった風だ。
 私がライオンについて知っているのは幼い頃……実の両親が生きている頃にほとんどと言っていいほどの絵本にライオンが出てきていたからだ。
 百獣の王を出すことで小さな子供には勇気を持たすことができるからだと思っていたけれど、よく考えるとどうも偏りすぎているように思える。そんな疑問を今持ったところで答えを教えてくれる人はいない。
――どうして、ママもパパも私にライオンのお話ばかり聞かせたの?
「俺は基本食べなくても死なないし腹が減らない」
 レオが苦虫を噛み潰したように大きな鼻に皺を寄せた。
「死なない?」
 その言葉に驚いてレオを見つめるも、また何も答える気がないことを示すように地面に伏せって顔を私から見られない位置に向けた。
 昨日出逢ったばかりの私にすぐにできるような話ではないのかもしれない。レオが話してくれるまで、話してもいいってレオが思ってくれるまで私は待ちたいと思った。
 レオがふいに身体を起こし口を開いた。
「……火を消すぞ」
「うん」
 私は頷きながらジャスミンを抱きかかえる。
 レオが火を踏みつぶす。あれ、これは普通に消すんだ……と内心がっかりしてぼんやりと火があった場所を見ていた。
「ほら、向こうにお前のいうベッドがあるぞ」
「はいはいー」
「なんだその返事は」
「ぷっ」

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