
異種間恋愛
第4章 獅子の秘密
「寒いのか?」
「え」
レオはまた何を勘違いしたのか私のほうに近付いてきた。言われてみれば火を消してからどんどん空気が冷たくなってきたかもしれない。でも、いま私の身体はどちらかというと火照っている。レオのせいで。
「ちょっ」
レオは私の隣に来ると鼻をひくひく動かした。
「そんなに身体は冷えてないみたいだな」
「だい、じょうぶよ?」
「そうか」とレオは答えたものの向こうに行く気配がない。
それどころか私のすぐ近くに寝そべった。
大きな身体が隣りで寝っ転がるとその体温が伝わってくる。体温だけでなくその息遣いも鼓動のリズムも時折動く耳から送られる僅かな風も手に取るように分かる。
それでけでどんな子守唄よりも眠りに落ちやすい睡眠薬のような役割をしてくれるはずなのに、そこにいるのがレオなのだと意識した途端私はむしろ目が覚めてしまった。
「レオ、そこで寝るの?」
恐る恐る尋ねるとレオが綺麗な青色の瞳で私を見た。
間近で見るそれはあまりに美しく星空をぎゅっと詰め込んだ宝石のようだ。見られるだけで胸が痛む。
「悪いか?」
すごく低く囁くような声を聞くとさらに苦しくなった。
なにこれ……。
「悪くなんかっ……な、ないよ」
普通に答えようとしたのに何故だか自分でも驚くほど焦った声が出た。
レオは鼻で軽く笑った。こんなに恥ずかしがっている自分が少し馬鹿らしくなった。
「なら、いいだろ」
「いびき、かかないでよね」
ああ、どうしてこんな憎まれ口を叩いてしまってるのだろう。
寒そうにしていると勘違いして温かいように傍に来てくれたレオにお礼くらい言わなきゃいけないのに。
「お前もな」
「かかないわよ。それに、私の名前はお前じゃないリ――」
「おやすみ」
最後まで言い終わらないうちにレオは馬鹿にしたような口調で就寝の挨拶を告げると瞼を閉じたのか青い瞳が見えなくなった。
しばらく瞳がもう現れないか期待半分警戒心半分でレオを見つめていると整った寝息が聞こえてきた。
「ありがとう。おやすみなさい、良い夢を」
「え」
レオはまた何を勘違いしたのか私のほうに近付いてきた。言われてみれば火を消してからどんどん空気が冷たくなってきたかもしれない。でも、いま私の身体はどちらかというと火照っている。レオのせいで。
「ちょっ」
レオは私の隣に来ると鼻をひくひく動かした。
「そんなに身体は冷えてないみたいだな」
「だい、じょうぶよ?」
「そうか」とレオは答えたものの向こうに行く気配がない。
それどころか私のすぐ近くに寝そべった。
大きな身体が隣りで寝っ転がるとその体温が伝わってくる。体温だけでなくその息遣いも鼓動のリズムも時折動く耳から送られる僅かな風も手に取るように分かる。
それでけでどんな子守唄よりも眠りに落ちやすい睡眠薬のような役割をしてくれるはずなのに、そこにいるのがレオなのだと意識した途端私はむしろ目が覚めてしまった。
「レオ、そこで寝るの?」
恐る恐る尋ねるとレオが綺麗な青色の瞳で私を見た。
間近で見るそれはあまりに美しく星空をぎゅっと詰め込んだ宝石のようだ。見られるだけで胸が痛む。
「悪いか?」
すごく低く囁くような声を聞くとさらに苦しくなった。
なにこれ……。
「悪くなんかっ……な、ないよ」
普通に答えようとしたのに何故だか自分でも驚くほど焦った声が出た。
レオは鼻で軽く笑った。こんなに恥ずかしがっている自分が少し馬鹿らしくなった。
「なら、いいだろ」
「いびき、かかないでよね」
ああ、どうしてこんな憎まれ口を叩いてしまってるのだろう。
寒そうにしていると勘違いして温かいように傍に来てくれたレオにお礼くらい言わなきゃいけないのに。
「お前もな」
「かかないわよ。それに、私の名前はお前じゃないリ――」
「おやすみ」
最後まで言い終わらないうちにレオは馬鹿にしたような口調で就寝の挨拶を告げると瞼を閉じたのか青い瞳が見えなくなった。
しばらく瞳がもう現れないか期待半分警戒心半分でレオを見つめていると整った寝息が聞こえてきた。
「ありがとう。おやすみなさい、良い夢を」
