
異種間恋愛
第4章 獅子の秘密
「有難う」
魚に向かって言ったのは初めてだったけれど、この言葉がいちばんしっくりくるような気がした。
謝るのは失礼だと思うのだ。
浅はかな考えかもしれないが、私が魚ならいまから食べられる相手に謝ってもらうより感謝されたほうが嬉しいと感じたから。
レオは黙って私を見つめていた。
「帰るぞ」
「うん」
帰る、という言葉が胸に染みた。私は魚を傍にあった大きな葉っぱで包み大事に抱えた。
帰り道は川で遊びすぎたせいか長く感じた。
だんだんと足が痛み、レオの背中が離れていく。
しかし、その度にレオは立ち止まり私が追いつくまで待っていてくれる。
「乗れ」
遅すぎる私に業を煮やしたのかレオは鼻先で自分の背中をさした。
「え」
「早く。足、痛むんだろ」
レオは伏せて私が乗りやすい高さに背中を置いてくれた。
レオにストラスを乗せたことはあるけれど私が乗るのは初めてだ。乗せてくれるなんて思わなかったのに……ちょっと嬉しい。
「し、失礼します」
おずおずと背中に乗るとふわふわで気持ちのよい毛並みが高級な絨毯のようで私は思わず頬ずりをしてしまった。
レオが立ちあがると結構な高さになって驚いたが、レオの広い背中に乗っていると不思議と安心できた。
「ここ、気に入っちゃったかも」
「……そうか」
「また乗ってもいい?」
レオは淡々と歩を進める。こんな質問をして私の速くなった鼓動がレオに伝わっていないか心配になった。
レオに拒否されるのが恐いと思った。
「考えておく」
「うん」
レオらしい答えに安心と落胆をしてしまった。
そして私だけひとりで一喜一憂していることが恥ずかしくなった。
魚に向かって言ったのは初めてだったけれど、この言葉がいちばんしっくりくるような気がした。
謝るのは失礼だと思うのだ。
浅はかな考えかもしれないが、私が魚ならいまから食べられる相手に謝ってもらうより感謝されたほうが嬉しいと感じたから。
レオは黙って私を見つめていた。
「帰るぞ」
「うん」
帰る、という言葉が胸に染みた。私は魚を傍にあった大きな葉っぱで包み大事に抱えた。
帰り道は川で遊びすぎたせいか長く感じた。
だんだんと足が痛み、レオの背中が離れていく。
しかし、その度にレオは立ち止まり私が追いつくまで待っていてくれる。
「乗れ」
遅すぎる私に業を煮やしたのかレオは鼻先で自分の背中をさした。
「え」
「早く。足、痛むんだろ」
レオは伏せて私が乗りやすい高さに背中を置いてくれた。
レオにストラスを乗せたことはあるけれど私が乗るのは初めてだ。乗せてくれるなんて思わなかったのに……ちょっと嬉しい。
「し、失礼します」
おずおずと背中に乗るとふわふわで気持ちのよい毛並みが高級な絨毯のようで私は思わず頬ずりをしてしまった。
レオが立ちあがると結構な高さになって驚いたが、レオの広い背中に乗っていると不思議と安心できた。
「ここ、気に入っちゃったかも」
「……そうか」
「また乗ってもいい?」
レオは淡々と歩を進める。こんな質問をして私の速くなった鼓動がレオに伝わっていないか心配になった。
レオに拒否されるのが恐いと思った。
「考えておく」
「うん」
レオらしい答えに安心と落胆をしてしまった。
そして私だけひとりで一喜一憂していることが恥ずかしくなった。
