
異種間恋愛
第6章 アスリアス王国の秘密
お互い何を言うでもなく泉の水を眺めていた。
――カァ
頭上高くでカラスの鳴き声がして、レオがぱっと顔を空に向けたかと思うと大きな鳴き声を出した。
それに答えるかのようにカラスは何度か鳴くとどこかへ飛んで行った。
「なにを話してたの?」
「……ラーナに行ったことは?」
「ラーナって都の?ないけれど」
この国の首都であるラーナは貿易が盛んで、民も皆豪華絢爛な衣装を纏い、娯楽に興じるなど余裕のある生活ができるほど繁栄していると聞く。
だから、私のような地方の町でもラーナは憧れの地だった。
しかし、実際に行ったことのある者は誰もいなかった。それもそのはず、不思議なことに行けば皆帰ってこなくなるのだ。音沙汰もなく、親は子供がラーナで楽しく忙しく日々を過ごしていて暇がないのだと信じるほかない。
「ラーナがどうかしたの?」
「あの地が荒れていることは知っているか?」
レオは海色をした瞳を見開く。ただでさえ大きな瞳がさらに大きくなり、どうやっても目を逸らすことができなくなった。
「荒れている?豊かで繁栄してるって聞いてるわ」
レオは私の能天気な言葉に鼻をならして嘲笑った。
「そうか。外にはそんな風に伝わっているんだな」
「どういうこと?」
「ラーナは100年前を機に悪魔にとりつかれたんだ。悪魔の住む都が本当に豊かなはずがないだろう」
悪魔という言葉に私は震え上がった。
神に逆らう唯一の存在、人間を不幸にし己の利益、楽しみだけのために命を奪う事も厭わない。
「本当に悪魔が?」
「王って名乗る悪魔だ。最近はさらに酷い治世をしている」
「そんな……でも、どうしてレオがそんなことを気にしてるの?」
森で人と関わることなく生きているレオがそんなことを気にする必要はあるのだろうか、という素朴な疑問だったが、レオの目つきが一瞬で鋭くなった。
「そんなこと?」
「え」
「王が権力を盾に弱い立場の民を奴隷のように扱っている現状が『そんなこと』なのか?」
「ど、奴隷!?」
レオが前足で地を踏む。私は頭が痛くなるのを感じた。
「ああ、そうか。知らなかったんだな……悪い」
「それは本当のことなの?」
――カァ
頭上高くでカラスの鳴き声がして、レオがぱっと顔を空に向けたかと思うと大きな鳴き声を出した。
それに答えるかのようにカラスは何度か鳴くとどこかへ飛んで行った。
「なにを話してたの?」
「……ラーナに行ったことは?」
「ラーナって都の?ないけれど」
この国の首都であるラーナは貿易が盛んで、民も皆豪華絢爛な衣装を纏い、娯楽に興じるなど余裕のある生活ができるほど繁栄していると聞く。
だから、私のような地方の町でもラーナは憧れの地だった。
しかし、実際に行ったことのある者は誰もいなかった。それもそのはず、不思議なことに行けば皆帰ってこなくなるのだ。音沙汰もなく、親は子供がラーナで楽しく忙しく日々を過ごしていて暇がないのだと信じるほかない。
「ラーナがどうかしたの?」
「あの地が荒れていることは知っているか?」
レオは海色をした瞳を見開く。ただでさえ大きな瞳がさらに大きくなり、どうやっても目を逸らすことができなくなった。
「荒れている?豊かで繁栄してるって聞いてるわ」
レオは私の能天気な言葉に鼻をならして嘲笑った。
「そうか。外にはそんな風に伝わっているんだな」
「どういうこと?」
「ラーナは100年前を機に悪魔にとりつかれたんだ。悪魔の住む都が本当に豊かなはずがないだろう」
悪魔という言葉に私は震え上がった。
神に逆らう唯一の存在、人間を不幸にし己の利益、楽しみだけのために命を奪う事も厭わない。
「本当に悪魔が?」
「王って名乗る悪魔だ。最近はさらに酷い治世をしている」
「そんな……でも、どうしてレオがそんなことを気にしてるの?」
森で人と関わることなく生きているレオがそんなことを気にする必要はあるのだろうか、という素朴な疑問だったが、レオの目つきが一瞬で鋭くなった。
「そんなこと?」
「え」
「王が権力を盾に弱い立場の民を奴隷のように扱っている現状が『そんなこと』なのか?」
「ど、奴隷!?」
レオが前足で地を踏む。私は頭が痛くなるのを感じた。
「ああ、そうか。知らなかったんだな……悪い」
「それは本当のことなの?」
