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異種間恋愛

第6章 アスリアス王国の秘密

「名前、覚えてくれてたの?」
「あ、ああ」
 レオの大きな体に飛びついた。気付いたらそうしていた。
 両腕いっぱいにレオを抱きしめて、ただただ泣いた。
 気のすむまで泣いた。私が自分のことだけで悩んでいた愚かさもレオに名前を呼ばれた嬉しさも含まれた涙だった。
 レオはじっと私の重さに耐えてくれていた。

「レオ、私にもっと教えて」
「ん?」
「アスリアス王国……私たちの住む国について」
 町で習ってきた歴史もなにもかも王国が指示した教育だったのだろう。そんなもの今となっては信用できない。
 そんなことに今さら気付いた。きっと、ストラスやカイさんたちのように頭の良い人たちはずっと前から勘付いていたに違いない。

「……わかった」
 新しい世界へ導くように重々しい風が私とレオに吹きつけた。

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