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異種間恋愛

第7章 新たな旅

 じっと火を見つめ続けると変な空気が流れ、耐えきれなくなった私は口を開いた。
「いつ止むかしら」
「そのうち止むだろう」
「そうね」
「雨は嫌いか?」
「ううん。困ることはあるけど、実は好き」
 私は思い切り空気を鼻から吸い込む。肺いっぱいに湿った空気が満たされた。雨が土に浸み込み、草木に滴が吸収され森が喜ぶ香りだ。
 耳を澄ませば雨粒が葉を叩く音、地面に跳ねる音、水たまりを作る音が聞こえてきて音楽を聞いている様に心地よい。そしてそれはどんな音楽よりも美しく、心落ち着くものであり、子守唄には最適なものだ。
「そうか。よかった」
 レオはそう言って私と同じように大きく空気を吸い込んだ。
「よかった?」
「ああ、雨は嫌われ者だと思ってたからな」
「そんなことはないわ。少なくとも私は好き。レオも雨が好きみたいだしね」
 大きな鼻をひくひくさせていたレオが私の方に顔を向けた。
 急に美しい大きな瞳に見つめられて、心臓が跳ねた。
「小さい頃から好きだったんだ。格好いいと思っていた」
「格好いい?」
「今まで動き回っていた奴らが、雨宿りの為に屋根の下でじっとしたり傘を取り出したり、駆けだしたり……。少し空が悪戯するだけでこんなにも人間の行動を変えてしまうなんて、なんか格好いいなって憧れていた」
 レオも可愛いことを考えるものだと思いくすりと笑ってしまう。
「笑うなよ」
 怒ったような照れているようなレオの声が聞えた。
「ううん。私もそう思う」
 私が答えればレオは少し嬉しそうにしっぽを揺らす。
 ゆらゆらと揺れ動く炎を見ていると起きたばかりだというのに瞼が下がってくる。
 背を幹に預けて、脚を投げ出せば身体が木に吸収されていくような心地さえした。

「ん」
 まだ止まない雨を耳と肌で感じ取った私は瞼を開けた。すごく香ばしい匂いが漂ってくると思えば魚を焼いている焚き火が目に入った。

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