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異種間恋愛

第7章 新たな旅

「起きたか」
「レオ、もしかしてこの雨の中川へ行ったの?」
「雨が弱まった時にな」
 レオは私に頼れとか無理するななんて言うくせに自分は無理しすぎなんじゃないかと思うと悲しくなった。
「どうした、フグにでもなるつもりか?」
 頬を膨らませている私を見て鼻で笑ったレオの身体はまだ雨で濡れているままだ。
「レオの馬鹿っ」
「お前に言われたら最後だな」
「もう!」
「今度は牛か?」
「ねえ……、寒くない? 大丈夫?」
 レオがまた鼻で笑った。
「俺は大丈夫なんだ」
「じゃあ、さっきみたいに身体をぶるぶるさせてきてよ」
 少し離れた所へ行って素直に従ったレオの身体はまた豪快に揺れた。
「少しはまっしになったみたいね」
「余計な心配はするな」
「嫌よ」
 レオが私に怒る理由が分かった。無理をしているレオを見るのは、本人よりも苦しいのかもしれない。こんな思いをレオにさせていたなんて、胸が痛んだ。
 私は立ち上がり、レオに近付くと大きな身体を撫でた。毛はまだ湿っている。
「とりあえず、レオはここでずっと座ってなさい」
「……ん」
 火の近くに座らせると、私はレオの毛を手で少々乱暴に撫でながら梳く。
「くすぐったいぞ」
「我慢しなさい」
 小さく身体を震わせるレオがすごく愛しい。
「レオ」
 レオは何も答えず、耳をぴくりと動かした。
「お魚、ありがとう。レオ……」

――大好き。その言葉が口をついて出そうになって自分でも驚いた。
 言いたくて言いたくて、今口を開けば絶対に飛び出してしまうから、舌を歯で噛み口を閉じた。
「どう、いたしまして……っておい、身体が濡れるぞ」
 照れくさそうに言うレオの身体にぎゅうっと抱きつくのが気持ちを抑えるのに精一杯の行動だった。
「いいの」
「……変なやつだ」
「レオの馬鹿」
「はいはい」

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