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異種間恋愛

第7章 新たな旅

 レオがゆっくりと瞬きをした。ジャスミンが木の枝から器用に素早く降りてくるとレオの瞳を見つめた。なにか伝えているらしい。
「明日には雨も上がるらしいし、今日はもう休むぞ」
 ジャスミンは私の頭に抱きついてからまた木を登って行った。
「ジャスミンって天気が分かるの?」
「リスには天気を読む能力があるんだ。ほら、火を消すぞ」
「あ、うん」
 灯りがなくなると、一気に空気が冷えて思わず身震いをした。
「リア、こっちへ来い」
「こっちって、もう隣りにいるじゃない」
「もっと寄れ」
 レオは何を言っているのだろうと不思議に感じながら私はレオに寄りそった。
 レオはゆっくりと地面に伏せった。
「ん」
「ん、って?」
 いよいよ何がしたいのか分からなくなってきた。
 暗闇の中、レオの静かに輝くふたつの瞳と微かに見える大きな身体のシルエット。
 私がとりあえずレオに寄りそって座ると、レオの顔で優しく大きな身体に引き寄せられた。
「わぁっ」
「うるさい」
 うんざりしたような声がすぐそこで聞える。
 横になった私を包み込むようにレオがいる。添い寝しているような状態で背中にレオの温もりがぴったりとくっついている。
 ワンピースを身につけていない私とレオ。私の身につけている薄い布ごしに身体がくっついている。
 レオのしっぽが私の腰に乗せられた。
「え、ええ」
「寒くないか?」
「あ……うん。ありがとう」
 そういうことか、と初めて納得した。ひとりで何を想像して慌てていたのだろう、私は。
「ああ。俺もこうしてる方が温かい」
 レオの柔らかな毛並みはどんな布団よりも暖かく、気持ちが良かった。レオの思いやりがなにより……。
 そして、レオに守られている安心感と幸せが胸を温かくさせた。
「すごく……幸せ」
 素直な言葉が口をついて出た途端、後ろで動いていたレオの呼吸が一瞬止まり心臓の音が速くなったように感じた。
「そうか」
「うん。気持ちいいね」
「ああ、気持ち……いいな」
「おやすみなさい」
 少し身体をねじってレオの顔を見る。星空のような瞳がこちらをじっと見たまま瞬きひとつしない。私はその瞳に見入ってしまい、目が逸らせなくなった。

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