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異種間恋愛

第8章 動き出す捜索

「都!」
「なんですの?」
 突然大きな声を出した僕にビビアンが驚く。
「ラーナと森は繋がっていた?」
「そうですわね……確か繋がってたはずですけれど」
「けれど?」
「ここからラーナまで森を伝って行こうとすれば200マイルほどあったはずですわ」
 200マイル……1日に成人男性が歩ける距離が日の出ている間歩き続けるとしても25マイル程度だろう。
 あの小さな身体で歩き続けたら10日以上はかかるに決まっているし、その間なにがあるか分からない。獣に襲われることも十分にあり得るし、食糧の確保もだいぶ難しいはずだ。
 この季節だから凍えることはないかもしれないけれど、森の中は夜になると相当冷える。
 けれど、都に向かったと思いたい。
 都に向かう以外森に入った目的は見当たらないから……。

「君はリアがどこへ向かったと思う?」
 ビビアンがあからさまに不快な顔をした。リアのことを早く僕に諦めてほしいのだろう。そんなこと無理に決まっているのに。
「わかりませんわ。そもそもストラス様と森で何があったのかが謎ですもの。もしかして、何かの拍子にリア様がストラス様に怪我をさせて、その罪悪感で……なんて皆が囁いてますわ」
 確かに謎だ。僕の傷は誰につけられたものだろう。
「その罪悪感でなんだって言うの?」
「ストラス様に顔を合わせることができないとお考えになったのかも、と」
 僕の剣幕に押されたビビアンは声を小さくしながら言った。
「リアは決して自分の命を粗末にはしない。これだけは言える」
「そ、それは分かってますわ。……それならきっと、都に向かわれたのじゃないかしら」
 その言葉に安心する。他人の口からその答えを聞くと本当にリアがラーナへ向かっていることが事実になったようだ。
 それでも、あんな都へリアが行くのは恐ろしい。
 森も都もあの純真無垢なリアにとっては大きすぎる敵だ。
「……っ」

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