
異種間恋愛
第9章 憧れの都
「あの……」
フローラさんに着せ替え人形のように遊ばれた私はくたくたになっていた。
あれもいい、これもいい。ああ、でもやっぱりこういうのも……とフローラさんは活き活きと店内を駆け巡り何着もの服を両手に持って私の所へやって来てはしゃぐ、の繰り返しだった。
「よしっ」
とやっと落ち着いた時は正直ほっとした。
「すごく可愛いっ。ちょっと待ってて」
フローラさんがどこかへ行った。私は鏡に映し出された自分を見た。
真っ黒な瞳と髪をした少女がこちらを目をまるくして見ている。
少し、日に焼けたかな……。健康的な肌色になっていた。元々かもしれない。
フローラさんが選んだワンピースはクリーム色のシフォン生地に小さな薔薇がいくつか描かれている可愛らしいものだった。胸の下はリボンで締められていて、膝より少し上の丈だ。膝上に小さなフリルがついていてくるりと回ってみれば裾が優雅に膨らんだ。
新しい靴はワンピースに描かれた薔薇と同じ色をしたハイヒール。これじゃあ、森の中は歩きにくいだろうな……なんて考えた。
「おお、可愛いお嬢さんじゃないか。うん。よく似合っておる。腕をあげたな、フローラ」
フローラさんと一緒に出てきたのは腰の曲ったおじいさんだった。
目元が優しく、微笑むと線になるところはフローラさんと瓜二つで人柄の良さを表しているようだった。
「まあ、こんな可愛いお嬢さんなら何を着させても可愛く仕上がるものじゃがな」
おじいさんはくっくっくと乾いた笑い声を響かせた。
「あの、これ本当に頂いてもいいんでしょうか……」
どれもすごく値の張るものばかりで、不安になっておじいさんを見る。
「いいんじゃよ」
「そうよー。これを着てラーナの観光してきてね」
片目をぱちっと閉じたフローラさんのウィンクは完璧だった。
私にも真似ができたらレオに『目が痛いのか?』なんて言われないかもしれない。
「ありがとうございます。あの、私……」
「どうしたの?」
「ラーナは荒れていると聞いていたから、少し不安だったんです。でも、こんなに優しい人たちがいるなんて」
フローラさんに着せ替え人形のように遊ばれた私はくたくたになっていた。
あれもいい、これもいい。ああ、でもやっぱりこういうのも……とフローラさんは活き活きと店内を駆け巡り何着もの服を両手に持って私の所へやって来てはしゃぐ、の繰り返しだった。
「よしっ」
とやっと落ち着いた時は正直ほっとした。
「すごく可愛いっ。ちょっと待ってて」
フローラさんがどこかへ行った。私は鏡に映し出された自分を見た。
真っ黒な瞳と髪をした少女がこちらを目をまるくして見ている。
少し、日に焼けたかな……。健康的な肌色になっていた。元々かもしれない。
フローラさんが選んだワンピースはクリーム色のシフォン生地に小さな薔薇がいくつか描かれている可愛らしいものだった。胸の下はリボンで締められていて、膝より少し上の丈だ。膝上に小さなフリルがついていてくるりと回ってみれば裾が優雅に膨らんだ。
新しい靴はワンピースに描かれた薔薇と同じ色をしたハイヒール。これじゃあ、森の中は歩きにくいだろうな……なんて考えた。
「おお、可愛いお嬢さんじゃないか。うん。よく似合っておる。腕をあげたな、フローラ」
フローラさんと一緒に出てきたのは腰の曲ったおじいさんだった。
目元が優しく、微笑むと線になるところはフローラさんと瓜二つで人柄の良さを表しているようだった。
「まあ、こんな可愛いお嬢さんなら何を着させても可愛く仕上がるものじゃがな」
おじいさんはくっくっくと乾いた笑い声を響かせた。
「あの、これ本当に頂いてもいいんでしょうか……」
どれもすごく値の張るものばかりで、不安になっておじいさんを見る。
「いいんじゃよ」
「そうよー。これを着てラーナの観光してきてね」
片目をぱちっと閉じたフローラさんのウィンクは完璧だった。
私にも真似ができたらレオに『目が痛いのか?』なんて言われないかもしれない。
「ありがとうございます。あの、私……」
「どうしたの?」
「ラーナは荒れていると聞いていたから、少し不安だったんです。でも、こんなに優しい人たちがいるなんて」
