
異種間恋愛
第10章 昔話と現在
3ヵ月前に城へ行った者が帰ってくる所を……死体になってじゃがな。
リアさん、そんなに泣くでない。折角の可愛い顔が台無しじゃ。
だが、これは単なる昔話ではないんだよ。
いまのファビオの息子……いまの王様だ。王様の名は知っておるじゃろ?
そう、フェリクス様。フェリクス様もファビオとグラドそのものなんじゃ。
同じことが続いておる。
城の中で何が起きているのかは分からない。行った者は帰って来ぬからな。
家族が城へ連れて行かれると分かれば皆、泣く。だが、文句もお別れの言葉もましてや王国を憎むような言葉を口にする者はおらん。嬉し泣き、と言い張って泣くのじゃ。へたくそな笑顔を顔に張り付けて。
王国の使者はどこにいるか分からん。文句など言うた日には即刻その一族全員が処刑される。
だから、フローラも必死に堪えておる。
自分の為でなく、家族の為に……愛する者の為にだ。
対照的に王国へ行く者は絶対泣かん。眩しいほどの笑顔で城へ向かう馬車に乗り込む。それも、残された愛する者の為になんじゃろう。
本当に立派な、これから未来を作っていく者たちばかりが……悔しい。どうせ行くならわしのような老いぼれが行ってやりたいんじゃっ……が、くっ悔しい限りで……っ。
いい、いいや。大丈夫じゃ。まだ話しておくことがある。
こんな王に反発する者もおった。だが、その者たちの末路はあまりにも酷いものじゃった。
思い出すのも嫌になるくらい……。ある若者が王に抗議しに城の前に向かったことがあった。
すると、意外なことに城の中へすんなりと通された。
そこで王を目の前に民を使い捨てるのは止めてくださいと懇願した。王は何も言わなかった。若者はその日は家に帰った。
次の日、若者の婚約者の娘が城へ連行された。それはそれは美しく思いやりのある娘じゃった。
その娘は3日間ほど城の中から出てこなかった。
そして、出て来た頃には衣服は破れ、髪は乱れ、腕や脚それに顔にまで無数の痣やら切り傷だらけになっておった。
心配でずっと城の前で待っておった若者はその姿を見て絶叫した。
愛しい女がぼろぼろになった姿で出て来たのだ。若者は急いでその娘に駆け寄ろうとした……が、使者たちに止められ、若者は縄で縛られ身動きができなくなってしまった。
リアさん、そんなに泣くでない。折角の可愛い顔が台無しじゃ。
だが、これは単なる昔話ではないんだよ。
いまのファビオの息子……いまの王様だ。王様の名は知っておるじゃろ?
そう、フェリクス様。フェリクス様もファビオとグラドそのものなんじゃ。
同じことが続いておる。
城の中で何が起きているのかは分からない。行った者は帰って来ぬからな。
家族が城へ連れて行かれると分かれば皆、泣く。だが、文句もお別れの言葉もましてや王国を憎むような言葉を口にする者はおらん。嬉し泣き、と言い張って泣くのじゃ。へたくそな笑顔を顔に張り付けて。
王国の使者はどこにいるか分からん。文句など言うた日には即刻その一族全員が処刑される。
だから、フローラも必死に堪えておる。
自分の為でなく、家族の為に……愛する者の為にだ。
対照的に王国へ行く者は絶対泣かん。眩しいほどの笑顔で城へ向かう馬車に乗り込む。それも、残された愛する者の為になんじゃろう。
本当に立派な、これから未来を作っていく者たちばかりが……悔しい。どうせ行くならわしのような老いぼれが行ってやりたいんじゃっ……が、くっ悔しい限りで……っ。
いい、いいや。大丈夫じゃ。まだ話しておくことがある。
こんな王に反発する者もおった。だが、その者たちの末路はあまりにも酷いものじゃった。
思い出すのも嫌になるくらい……。ある若者が王に抗議しに城の前に向かったことがあった。
すると、意外なことに城の中へすんなりと通された。
そこで王を目の前に民を使い捨てるのは止めてくださいと懇願した。王は何も言わなかった。若者はその日は家に帰った。
次の日、若者の婚約者の娘が城へ連行された。それはそれは美しく思いやりのある娘じゃった。
その娘は3日間ほど城の中から出てこなかった。
そして、出て来た頃には衣服は破れ、髪は乱れ、腕や脚それに顔にまで無数の痣やら切り傷だらけになっておった。
心配でずっと城の前で待っておった若者はその姿を見て絶叫した。
愛しい女がぼろぼろになった姿で出て来たのだ。若者は急いでその娘に駆け寄ろうとした……が、使者たちに止められ、若者は縄で縛られ身動きができなくなってしまった。
