
異種間恋愛
第11章 王子と獣
「何を言うのです。人違いも甚だしい。私の名はリア・シャレット・アストリアン。グラドの娘、オレリアの孫であります。この者はなにか勘違いをしているようです。即刻、この場から立ち去らせなさい」
「リア様!? 正室候補のひとりではありませんか。そこの女、ここから立ち去れ! すぐにだ」
男が叫ぶように言えば、屈強そうな大男が2人出てきてフローラさんを無理矢理立ち上げた。
フローラさんは驚いた顔で私を凝視している。
心の中で感謝の気持ちとお詫びをして、小さく頷いてみせた。笑顔で。
すると頭の回転の速いフローラさんは合点したように頷いて男に運ばれて行った。
「女性は丁寧に扱いなさい」
そう言い放てば、大男たちが少し力を緩めた。
「ほう。リアというのか。既に正室候補に入っていたとはな」
「ラドゥ王子、大変申し訳ありませんが私はその候補から外して頂けませんか?」
ストラスの言葉を思い出していた。そうだ、私は既婚者になっているのだった……。こんな時にそれが武器になるとは思っていなかった。
「それは無理な相談だ」
「しかし、私には夫がおります」
「誰だ?」
どうせ調べればすぐにばれてしまうことだろうし、王子と言えども王家には手を出すまい。
「ストラス・シャレット・リーゼロッテでございます」
「なに、ストラスとだと?」
初めて動揺する気配を見せた王子はストラスを知っているらしい。
「リュカ、それは真か?」
「いえ、そのような筈はございません。リア様がお生まれになった時にすぐ正室候補になったのですから。何かの間違えではございませんか?」
どういうことだろう。ストラスが嘘を言ったの?
余計まずいことになってしまった……。
「まあ、どちらにしろ関係のないことだ。お前が既婚者であるなら、離婚させるまで。さあ、行くぞ」
「そんな……離婚なんてことが認められるわけありませんっ」
一度結婚した者は死ぬまで別れることができないのは常識だ。
「それなら、お前が初めての例になるな」
王子は恐ろしいほど整った顔で自信満々の笑顔を作った。屈託のない笑顔だった。
「リア様!? 正室候補のひとりではありませんか。そこの女、ここから立ち去れ! すぐにだ」
男が叫ぶように言えば、屈強そうな大男が2人出てきてフローラさんを無理矢理立ち上げた。
フローラさんは驚いた顔で私を凝視している。
心の中で感謝の気持ちとお詫びをして、小さく頷いてみせた。笑顔で。
すると頭の回転の速いフローラさんは合点したように頷いて男に運ばれて行った。
「女性は丁寧に扱いなさい」
そう言い放てば、大男たちが少し力を緩めた。
「ほう。リアというのか。既に正室候補に入っていたとはな」
「ラドゥ王子、大変申し訳ありませんが私はその候補から外して頂けませんか?」
ストラスの言葉を思い出していた。そうだ、私は既婚者になっているのだった……。こんな時にそれが武器になるとは思っていなかった。
「それは無理な相談だ」
「しかし、私には夫がおります」
「誰だ?」
どうせ調べればすぐにばれてしまうことだろうし、王子と言えども王家には手を出すまい。
「ストラス・シャレット・リーゼロッテでございます」
「なに、ストラスとだと?」
初めて動揺する気配を見せた王子はストラスを知っているらしい。
「リュカ、それは真か?」
「いえ、そのような筈はございません。リア様がお生まれになった時にすぐ正室候補になったのですから。何かの間違えではございませんか?」
どういうことだろう。ストラスが嘘を言ったの?
余計まずいことになってしまった……。
「まあ、どちらにしろ関係のないことだ。お前が既婚者であるなら、離婚させるまで。さあ、行くぞ」
「そんな……離婚なんてことが認められるわけありませんっ」
一度結婚した者は死ぬまで別れることができないのは常識だ。
「それなら、お前が初めての例になるな」
王子は恐ろしいほど整った顔で自信満々の笑顔を作った。屈託のない笑顔だった。
