
異種間恋愛
第11章 王子と獣
次期国王として生まれ、何の不自由もしたことがないのだろう。
こんな我儘で話の通じない王子には何を言っても自分の意志を貫こうとするだろう。
もう、残された方法はひとつだけだ。
道を囲むように生えている木々の向こうから微かに水の流れ出る音がした。滝……だろう。
「ラドゥ様、離婚はさすがに……」
「なに、リュカ。俺にできぬことがあると申すか。宗教を少しいじることなど容易い」
「ですが」
リュカと呼ばれた男と王子が揉めている……今しかない。
大きく息を吸いこんで、肺を満たした。思いっきり地面を蹴った。
「おいっ!」
「リア様!」
後ろでふたりの驚く声が聞えた。木の間をくぐり抜け、脇目もふらず走れば大きな滝が見えてきた。
谷のようになった遥か下には滝から落ちてきた水がたっぷり溜まっている。
フローラさんに履かせてもらったハイヒールは邪魔で両方脱ぎ捨てた。
「そっちは行くなっ」
王子が馬を降りて走ってきている音が聞こえた。もう後戻りはできない。
フローラさんにせっかく助けてもらったのに……。
目の前が断崖絶壁という所まで来ると足を止めた。振り返れば向こうから王子が走ってくる。
私は最後の望みをかけて空気を吸った。
――――レオーーーーっ!!
返事を待たずに一歩踏み出した。
「やめろ!」
すぐ傍まで来ていた王子の声。さすがのレオもこんな所まで助けにはこれないだろう。
踏み出した足は着地する地面を失くし、宙に浮かんだ。と思えば、身体がふわりと一瞬浮いて一気に落下していく……。
こんな我儘で話の通じない王子には何を言っても自分の意志を貫こうとするだろう。
もう、残された方法はひとつだけだ。
道を囲むように生えている木々の向こうから微かに水の流れ出る音がした。滝……だろう。
「ラドゥ様、離婚はさすがに……」
「なに、リュカ。俺にできぬことがあると申すか。宗教を少しいじることなど容易い」
「ですが」
リュカと呼ばれた男と王子が揉めている……今しかない。
大きく息を吸いこんで、肺を満たした。思いっきり地面を蹴った。
「おいっ!」
「リア様!」
後ろでふたりの驚く声が聞えた。木の間をくぐり抜け、脇目もふらず走れば大きな滝が見えてきた。
谷のようになった遥か下には滝から落ちてきた水がたっぷり溜まっている。
フローラさんに履かせてもらったハイヒールは邪魔で両方脱ぎ捨てた。
「そっちは行くなっ」
王子が馬を降りて走ってきている音が聞こえた。もう後戻りはできない。
フローラさんにせっかく助けてもらったのに……。
目の前が断崖絶壁という所まで来ると足を止めた。振り返れば向こうから王子が走ってくる。
私は最後の望みをかけて空気を吸った。
――――レオーーーーっ!!
返事を待たずに一歩踏み出した。
「やめろ!」
すぐ傍まで来ていた王子の声。さすがのレオもこんな所まで助けにはこれないだろう。
踏み出した足は着地する地面を失くし、宙に浮かんだ。と思えば、身体がふわりと一瞬浮いて一気に落下していく……。
